16歳が大志を抱いて海を渡る。ロイヤルズとマイナー契約を結んだ結城海斗投手(16)が8日、大阪府河南町で記者会見を行った。同じ羽曳野市出身のカブス・ダルビッシュ有投手に憧れる身長188センチ、最速144キロを誇る大型右腕。今年3月に中学を卒業し、多くの強豪校から誘いを受けたが進学せず、直接メジャー球団と契約した。契約年数は7年。8月上旬にも渡米し、夢舞台を目指す。

 3月に中学を卒業した結城が選んだのは甲子園の星よりメジャーの夢だった。緊張気味の表情にはまだあどけなさが残るが、言葉は力強かった。

 「初めは甲子園を目指していたんですけど、シニア選抜でアメリカで野球をさせていただいたときに、甲子園よりアメリカで野球がしたいという思いが強くなりました。体格とかパワーが全然違いますし、そういうところにびっくりしました。自分もこういうところで野球をして、上(のレベル)でやっていきたい」

 最速144キロの速球とスライダーを武器に、昨年7月には米イリノイ州で開かれたリトルシニア全米選手権の日本代表として活躍した。国内の多くの高校から誘いがあったが、国際大会での強烈な経験から異例の挑戦を決めた。

 「少しは不安がありますけど、今は期待のほうが大きいです」。目指すは同じ大阪府出身のメジャーリーガーと同じ舞台だ。小学生時代はダルビッシュと同じ羽曳野ブラックイーグルスに所属。「昔からダルビッシュ投手を目標にやってきました」と憧れのまなざしを向ける。ロイヤルズの大屋国際スカウトは「変化球を巧みに投げられる器用さがある。中学時代のダルビッシュより変化球は上」と太鼓判を押した。

 大リーグ機構のコミッショナーの契約承認など手続きが整い次第、渡航手続きをして、早ければ8月上旬にアリゾナ州サプライズ市のキャンプ地で育成プログラムに参加する予定だ。契約期間は7年。大屋スカウトは「慌てずじっくり体作りを基本にやっていく。順調にいけば5年くらいでいけるかな」と期待した。

 中学卒業後、結城はジムで体幹トレーニングに励み、中学まで所属した「河南リトルシニア」で練習を続けた。3カ月前から毎日1時間の英会話特訓をこなしてきたが、英語は「全然しゃべれないです」と屈託なく笑い「向こうに行って慣れていけばいいかなと考えています」と言った。異例の挑戦に16歳の胸は高ぶっていた。【吉見元太】