エンゼルス大谷翔平投手(24)が、メジャー初の代打本塁打、決勝アーチを放った。ドジャース戦、同点の7回先頭に代打で登場。2番手右腕シャーゴワの内角低めツーシームをとらえ、中堅スタンドへ運んだ。前日に自打球を右膝に受け、全力で走れない状態の中で約135メートル飛ばした。5月17日のレイズ戦以来の1発で、チームに勝利をもたらした。

 手負いの大谷が、1打席でどでかいホームランをかっとばした。同点の7回、先頭で「代打大谷」。4万2213人の大観衆が固唾(かたず)をのむ。カウント2-2からの6球目、95・8マイル(約154キロ)のツーシームをとらえた。内角低めの厳しいボールを打ち返し、中堅深くまで運んだ。「すごく良いコースだったので、とらえられてラッキーだった」。謙遜しながらも、推定飛距離135メートル弾。「感触は良かった」と、手応えありだった。

 ゆっくりとダイヤモンドを回った。「全力で走れなかったので、一番いい形になって良かった」。前日、9回の最終打席で右膝に自打球を当て、状態は万全ではなかった。一夜明け、スタメンは回避。治療しながらベンチ裏で調整し、試合開始後の2回に、メディカルスタッフと大谷が「いける」と判断。ソーシア監督に、出場可能と直訴した。

 ならばと首脳陣は作戦を練った。全力で走れない大谷を先頭で起用したソーシア監督は「出塁率が高い。点をとる流れをつくってくれると思っていた」と意図を明かした。出塁率はトラウト、シモンズに次ぐ、3割5分4厘。出塁してくれれば御の字だった。大谷も「先頭で塁に出れば十分仕事はしている場面。四球でも内野安打でもいいですし、なんとかして出よう」と思いつつ、結果はメジャー初の決勝本塁打。まさに、周囲の期待への“良い意味で裏切り行為”だった。

 予想外のことは自身の打席の中でもあった。2ストライクから相手の決め球チェンジアップが頭にあった。「裏をかかれての直球だった。そこを良い形で打てたのは、僕の中でもすごく良かった」。変化球を意識しながら、直球に対応できた。「次の打席から、そういうアプローチも出来るかもしれない」とレベルアップへ収穫となる打席だった。待望のアーチでチームを勝利に導き「僅差をものにできるのはすごくいいこと。逆転してから、しっかり勝ちきることが出来たというのはすごく良かった」。驚きと価値のある1発となった。【斎藤庸裕】