昨年1月の日刊スポーツで「カナダから大リーグ入りを目指す高校生」として紹介した八尋大誠(18)の進路が決定した。今年から米アマチュア球界屈指の投手コーチで、カーショー(ドジャース)らを育てた名伯楽ジェリー・ドーソン氏がいるアリゾナ州のヤバパイ短大に進むことになった。

ドーソン氏はU18米国代表コーチ時代にカーショーやベタンセス(ヤンキース)らを指導。現在はレッドソックスなどで3度世界一に輝いたカート・シリングらを輩出した強豪の同大で投手コーチを務める。その同氏から「メジャーリーガーを何十人も出してきたが、1番の教え子はカーショー。君は背格好も投げ方も、大きなカーブを使うのもカーショーに似ている。体を大きくしていけば球速もあと10マイルは出る」と口説かれ、今年9月から入学することを決めた。

同氏の目を引いたきっかけは、昨年1月と10月にアリゾナとフロリダで行われた「ショーケース」と呼ばれる大会。これは米国やカナダの有望選手を集めてチームを作り、大学やプロのスカウトの前で試合をさせるもの。八尋は2大会で計14回を投げ、被安打4、自責1、25三振5四球と圧倒的な投球。最速86マイル(約138キロ)ながらほとんどの三振を真っすぐで奪い、直球の回転数の多さもスカウト陣の評価を高めた。

フロリダの大会では、ショーケースを主催するパーフェクトゲーム社の採点で全投手の中でなんと1位の成績。40校以上の大学からオファーが届いた。フロリダ大やマイアミ大などNCAA1部校からも話があったが「ドーソン氏の存在」「野球に集中でき、すぐ主力として活躍できる環境」「フル・スカラーシップ(授業料全額免除)」などの条件から、同大を選択した。

ここで結果を出せば、即戦力として4年制大学への編入や、MLBからのドラフト指名などの道が開ける。八尋はオリックス・ジュニア時代、エース藤原恭大(ロッテドラフト1位)に次ぐ2番手投手だった。藤原や根尾昂(中日同1位)には常に注目している。「いつか対戦したい。(2人と)戦える場所に将来立てれば」という夢へ、1歩近づいた。【千葉修宏】