18年のア・リーグ新人王、エンゼルス大谷翔平投手(24)が、初めて公の場で英語スピーチを披露した。26日(日本時間27日)に全米野球記者協会(BBWAA)ニューヨーク支部が主催したメジャーリーグ各賞授賞式に参加。壇に上がると英語で話し始めた。

「まず初めに、多くの素晴らしい選手とともに、このステージに立てて、非常に光栄です。受賞者の皆様、おめでとうございます」

野球殿堂入りした著名人、一般人も含め総勢約900人が集まった。正装が出席者のドレスコードで、大谷も黒のスーツに黒のネクタイを身にまとった。アカデミー賞さながらの雰囲気の中、最初のフレーズを言い終えると、品のある拍手喝采が湧き起こった。

約1分40秒、全て英語でスピーチを行った。英語は少しだけだろうと予想していたチーム関係者は驚かされた。「最後に、今日ここまで、日本からはるばる来てくれた両親へ、サポートしてくれてありがとう」。場内の大型ビジョンに母加代子さんが映し出され、また大きな拍手を浴びた。

同じくスピーチを行ったMVP選手やサイ・ヤング賞投手らはアメリカンジョークで会場の笑いを誘っていたが、大谷も負けていなかった。「次回、ここに来たときには、このチートシート(カンニングペーパー)を必要としないようにしたい」。カンペを使ったことを暴露し笑顔で結んだ。

エンゼルス入団までの過程で、早々にヤンキースが候補から外れ、辛口のメディアから「臆病者!」とたたかれた。昨年ヤ軍と対戦した時には大ブーイングも浴びた。結果で評価を一変させ、サインを求める列が出来た。自由の国のど真ん中でもらった拍手は、たった1年で認められた何よりの証しだ。【斎藤庸裕】

◆BBWAA授賞式 全米野球記者協会(BBWAA)により選出された新人王やMVP等の各賞受賞者を表彰する恒例のディナーショーで、今年は96回目と長い歴史を誇る。BBWAAニューヨーク支部の主催で毎年マンハッタン内の高級ホテルで行われ、ニューヨークだけでなく全米各地から記者や球界関係者が集まる他、ディナーのテーブル席が一般向けにも販売されている。今年は1席275ドル(約3万300円)。参加者にはドレスコードがあり、ブラックタイ(タキシード着用)等の格式高い服装は義務ではないが推奨され、最低限スーツとドレスの服装が求められている。