【デトロイト(米ミシガン州)9日(日本時間10日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(24)が、待望の復帰後初安打を放った。タイガーズ戦に3日連続となる「3番指名打者(DH)」で先発出場。1回無死一、二塁で迎えた第1打席で、先制打となる右前打を放った。復帰してから2試合無安打だったが、持ち前のポジティブ思考で欲しかった1本を手にした。

ようやく出た。大谷が待望の1本を放った。復帰戦から3試合目、10打席目にして放った一打。タイガース先発の左腕カーペンターのカウント0-1からの2球目のスライダーを捉え、右前に運んだ。無安打に終わった前日8日の試合後、「早く1本打ちたいなという気持ちをどこまで抑えながら、やることをしっかりやるのが大事」と話していた通り、得点圏に走者を置いた場面での先制打。3番打者としての仕事をきっちり果たした。

復帰から3日連続で左腕の先発をぶつけられた。オースマス監督は試合前、「左投手が続いて、アンラッキーだね」と笑った。才能を認めているだけに、信頼は揺るがない。復帰前の実戦形式の打撃練習(ライブBP)ではマイナー投手を相手に56打席を消化。メジャーレベルの試合ではスタートで苦しんだが、同監督は「まだ2試合。全く心配していない。パニックボタンを押す必要はない」と変わらぬ期待を寄せていた。

大谷は不安と戦いながら“らしい”ポジティブ思考で乗り越えた。復帰前「実戦で1本出るまでは不安なもの」と明かした。本心はそうであっても、表には見せなかった。リハビリ期間中の様子を見守ってきたクラブハウス管理人のエンゼル氏は、「(大谷は)落ち込んだことがないのかと思うくらいだね。すごく強い精神力がある。本当にポジティブな男」と評した。実際に前日8日の最終打席では約154キロの直球に空振り三振したが、「この段階で(速い球を)見られたというのもまた良いこと」。反省部分を即、プラスの方向に変えていた。

復帰3戦目での待望の1本。「打席を重ねるごとに(ボールの)見え方は良くなっている」と話していた通り、力強い一打を決めた。