メジャーで花巻東高の同窓対決が実現する。

マリナーズは4勝目を目指す菊池雄星投手が先発。エンゼルス大谷翔平投手は3番DHでスタメン出場となり、NPB時代の2017年開幕戦以来、2年ぶりの対決となる。

岩手県で生まれ育ち、花巻東の先輩、後輩の間柄。ともに甲子園で「怪物」と呼ばれた大谷翔平投手(19=当時日本ハム)と菊池雄星投手(21=当時西武)が、2013年7月の球宴前に行われた対談で過去、現在、未来について、本音を語り合っています。 ともにメジャー移籍を果たし、夢の対決を果たしたが、6年前に2人は何を考えていたのか、復刻版で若き日の熱き想いを振り返る。現在編です。

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【(2013年)現在 ~過去から未来へ移りゆく、今~】

大谷がプロ入りした年に、4年目の菊池が大きな飛躍を遂げた。前半戦だけで9勝を挙げ、防御率はリーグ2位の1・58。そのスタートは日本ハム戦だった。

大谷 最初のカード(3月30日の西武戦)で雄星さんにこてんぱんにされたので、プロ野球はやっぱり違うのかなと思いましたし、難しいのかなと思いました。でも、裏を返せば、これからもっとやらないといけないなと思ったので、(完敗でも)良かったのかなとも思います。

尊敬のまなざしを送る大谷に、菊池は“変化球”で揺さぶった。

菊池 実は、食事に連れていこうと思ってたんだよ。でも、隙がないよね。あっ、オレと一緒にしちゃダメか。オレなんて1年目は隙だらけだったから。だから、本当はそこを暴きたいんだけど…。(花巻東)佐々木監督からも「相当まじめだぞ」って聞いてるし、コーチからも「まじめだから汚すなよ」って、言われてるけど(笑い)。

大谷 えっ、誘っていただけたら、もちろん行きます。喜んで!

19日からの球宴では、初めてチームメートとして同じ舞台に立つ。

菊池 自分がピッチャーで外野に大谷が守っていたら楽しみだし、監督、コーチ、花巻東のみなさん、ファンのみなさんにも喜んでもらえる。そこは楽しんで。フェンス直撃とか、カバリングとかで忙しくならないようにしないと。レーザービームでも助けてもらったりして(笑い)。

大谷 一番年下ですし、先輩たちがいる中で肩身が狭い思いもあるので、(菊池に向かって)心強いです!

菊池 ちょっと待って。オレ、友達いないから。ていうか、オレも1人だよ。花巻東の選手って2人しかいないから、心細いよね。大阪桐蔭の方とかいっぱいいるところは、みんなでご飯を食べにいったとか聞くけど。

第3戦は東日本大震災の被災地でもある福島・いわきで行われる。東北出身の2人は、その意義を感じながら、自分の言葉で思いを語った。

大谷 まずはルーキーらしく、やっていければと思います。そういうプレーを見てもらって、頑張ろうって思ってもらえれば、うれしいなと思います。

菊池 震災に無理やり関連づけるというのも、あまり良くないのかなと思っていて、やっぱり楽しく野球をやって、いい結果を出して、そういう姿を見てもらうのが大事だよね。実際、オフに岩手の被災地とかに行って、何か伝えようと思っていくんだけど、結局は何かをもらって帰ってくる。今回もそうなるのかなと思う。(未来編へ続く)