魔球にバットが次々と空を切る。カブスのダルビッシュ有投手(33)がレッズ戦に先発し、1試合8者連続三振の球団新記録を打ち立てた。

前回登板の6回14奪三振に続き、この日も7回13奪三振。2試合13イニングで27奪三振は圧巻だ。三振を取るすべは「今は速いカーブがあるから、それを使うことが多いというくらい」と、さらりと言ってのけた。

新球ナックルカーブ。130キロ前後でブレーキが効いて鋭く落ちる。登板中、「速いカーブを(相手が)意識しているなというのはすごく感じた」。それでも、4回の3者連続三振は全てナックルカーブが決め球だった。意識していても打てない、いわば“魔球”。サイ・ヤング賞3度のドジャース・カーショー、昨年のア・リーグ最多勝左腕、レイズのスネルのカーブが代表的だが、メジャー屈指の2大魔球にもひけをとらない。新球とは思えないほど変幻自在に操り、打者を惑わせた。

投球の幅も広がった。「あれがあることでより他の球が生きている」。最速156キロだった直球を決め球とした三振は3つ。「最近球も切れてますし、まっすぐもだいぶいい」と手応えを口にする。それだけに、1回1死二塁、アキーノへの外角直球が痛恨だった。2ランを浴び、初回の失点が響いて7敗目。「勝ちたかったです」と唇をかんだ。次戦はナ・リーグ中地区首位のカージナルス戦となる見込み。首位たたきへ、この敗戦を糧とする。(シカゴ=斎藤庸裕)

◆日本では 連続奪三振のプロ野球記録は57年梶本隆夫(阪急)58年土橋正幸(東映)がマークした9連続。セ・リーグ記録は60年鈴木隆(大洋)の8連続。