【ポートシャーロット(米フロリダ州)26日(日本時間27日)=四竈衛】レイズ筒香嘉智外野手(28)が、「5番三塁」でスタメン出場し、2打数無安打とオープン戦3試合目で初の無安打に終わった。

もっとも、初の三塁守備では、緩いゴロに対し、軽快なランニングスローを見せるなど、高い適応力をのぞかせる上々の試運転となった。

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がっちりとした体格でも、動きは俊敏だった。4回、5番ルーカーのボテボテのゴロに、筒香は瞬間的に反応した。定位置からダッシュしながらも打者走者の走力を判断し、落ち着いて逆シングルで捕球。素早く右手に持ち替え、一塁へランニングスローでアウトに仕留めた。「走者が見えて、普通に行けば間に合うと思ったのでグラブで行きました。視界にちゃんと入れるようにしていました」。慌てることなく、冷静な判断力が光るプレーだった。

キャンプイン後、全体練習前の早出をはじめ、守備練習にも積極的に時間を費やしてきた。キャッシュ監督自らがノックバットを握る強烈な打球を、幾度となく、受けてきた。レ軍は極端なシフトを敷くこともあり、この日も引っ張り傾向の強い左打者の際には、二、三塁間に1人となる遊撃の定位置に就くなど、日本では経験したことのない多様性も求められる。遊撃からの光景は、小学生時代以来。結果的に、この日は守備機会が1回とあって「今日はいっぱい飛んで来て欲しかった、というのは正直あります」と話した一方、「シーズン入ったら分からないですけど」と、ジョーク交じりに笑わせた。

相手打者、カウント別に細かく動く守備位置は、ベンチからのサインをもとに遊撃アダメズから助言を受けている段階。「慣れていくしかないです」。持ち前の打撃をフルに生かすためにも、守備をおろそかにするつもりはない。期待されるのは、攻守そろった看板選手。打撃では無安打に終わったものの、「いいコンディションで開幕を迎えられるようにしたい」との姿勢は変わっていない。

○…筒香と初めて三遊間を守った遊撃アダメズは、新チームメートの動きを高く評価した。ランニングスローでアウトに仕留めた直後には、「今まで見たことがないプレー。とてもアスレチックな動きだった」とたたえた。頻繁に守備練習に取り組んでいるキャッシュ監督は「いい悪いの判断ではなく、(練習を)続けていくことが大事だ」と、今後も内外野の両面で筒香を起用していく考えを強調した。

◆筒香の三塁 日本時代は一塁、三塁、左翼、右翼と4つのポジションを経験し、三塁は通算135試合。昨季は5年ぶりに三塁を守った。

◆日本人大リーガーの三塁 レギュラーシーズンでは3人が三塁手としてプレーし、岩村明憲が131試合、川崎宗則が24試合、中村紀洋が10試合出場。また、同一シーズンに内外野の両方で出場した例では田口壮外野手(カージナルス)が03、06、07年に1度ずつ二塁を守ったが、本格的な併用はまだいない。