十人十色の野球選手が共通する言葉を口にすることがある。打者としてのエンゼルス大谷翔平投手(25)とレッズ秋山翔吾外野手(31)、チームカラーは同じ赤でも、4番として長打や打点を求められる大谷と、1番として単打や出塁を期待される秋山は全くタイプが違う。構え、タイミングの取り方、スイングの軌道など打撃の基本形もそれぞれ異なるが「納得できるアウトが次に生きる」という考え方は同じだった。

大谷は昨年9月1日、8月下旬から陥っていた不振の原因について言及した。「納得できるアウトが少ないのかなと。そこが増えれば、必然的にいい結果が出ると思う」。1つのアウトを失敗という結果だけで終わらせない。「必ずあるアウトの中で、どういう形で打ち取られるかが大事」と考え、安打を放った時の感覚だけでなく、凡打の中からもヒントを得る。

同じように、秋山も今キャンプで意識していたことがあった。オープン戦4試合目のパドレス戦で3打数1安打。それでも「やられたアウトが多いというのはある」。二ゴロと遊ゴロだった凡打に、違和感があった。その上で「タイミングがとれて、捉えたけど正面いったとか、凡打にも納得するものが増えてくれば、バッティング自体が上がってくる」。大谷と似たようなコメントだった。

失敗を引きずらず、切り替えて前進する考え方も、もちろんあるだろう。思考法は人それぞれだが「失敗の質を高めていくこと」に関して、両者の意識は共通していた。ポジティブな発言が多い大谷と、「性格的に悲観的になりやすい」と自らを分析する秋山。内面の違いもある。それでも、言葉を並べると一致する部分がある。2月25日にメジャーのオープン戦で初対面した2人。左打席で戦いに挑む姿はダブって見えた。