【テンピ(米アリゾナ州)11日(日本時間12日)=斎藤庸裕】史上初となるセンバツ高校野球の中止が決まり、日本人メジャーリーガーたちが球児にエールを送った。花巻東(岩手)で甲子園に2度出場したエンゼルス大谷翔平投手(25)は、大会中止でプレーできなくなった球児たちを思い、夏に向けての再挑戦を願った。

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8年前、センバツの知らせに大谷は心を躍らせていた。1月下旬、チームメートとともに、学校の電話が鳴るのを待った。「本当に出られるか出られないか、どっちか分からないという感じのラインにいたので、かなりドキドキして待ってました。選ばれると決まった日はすごくうれしかった」。緊張が解け、思い切り喜んだ瞬間を鮮明に覚えている。

当時の状況と違う。だが、甲子園出場の喜びを知るだけに、大会中止となった球児たちの思いを理解し、激励した。「もちろん、出るのが難しい大会ですし、国体を除けば年に2回しかない全国の大会。なかなか甲子園で高校球児がやるというのもない機会だと思いますけど、夏、ぜひまた出て欲しい」。

自身は高校3年時のセンバツに出場し、初戦で大阪桐蔭に敗れた。エース藤浪から本塁打を放ったが、投げ合いには完敗。夏の岩手大会では決勝で盛岡大付に敗れた。昨年、大谷は甲子園について持論を語った。「甲子園が全てと思って取り組むのが高校球児かなと。終われば、その先に進んでみれば、1つの過程としてあるものだなとは思う」。向上心を持ち続け、二刀流でプロ入り。MLBで活躍するレベルに到達した。

悔しさは、今後の成長への原動力になる。「今回はこうなってしまいましたけど、非常に残念ですけど、ぜひ夏に出て、全チーム頑張って欲しい」。球児たちと悔しさを共有しているかのように、激励のメッセージを送った。