<ワイルドカードシリーズ:レイズ3-1ブルージェイズ>◇29日(日本時間30日)◇トロピカーナフィールド

ア・リーグ最高勝率のレイズは、ブルージェイズ相手のワイルドカード・シリーズ第1戦を、巧みな継投策で接戦を制した。

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固定観念にとらわれない、キャッシュ監督の攻めの継投が、勝敗の行方を決めた。1-0の6回2死一塁。そこまで1安打9奪三振と快投を演じていた18年サイ・ヤング賞左腕スネルを、82球で交代。今季4セーブ(S)のカスティーヨを投入し、無失点に封じた。続く7回。1死一、二塁のピンチを招くと、すかさずチーム最多の6Sを挙げたアンダーソンにスイッチ。同点機をしのいだ。

一般的な勝利の方程式でであれば、カスティーヨ、アンダーソンは8、9回が出番のはずだった。だが、キャッシュ監督には、常識も定石もない。絶対に落としたくない3戦制の初戦。後手に回ると、巻き返すのは簡単ではない。「1点差試合。同点にしたくなかった」。相手打線が中軸に回ることもあり、より「いい札」を先に切り、流れを断ち切ることを最優先した。7回裏にはレ軍打線が2点を追加。リードを3点に広げ、最後は今季0Sのフェアバンクスが締めくくってセーブを挙げた。

今季のレ軍は、1973年のレンジャーズ以来となる計12人がセーブを記録した。アンダーソンが軸とはいえ、クローザーを固定せず、相手打者との相性で柔軟に起用してきた。救援陣のレベルの高さに加え、全員のモチベーションと緊張感を維持させるマネジメント能力は球界屈指だ。先発スネルは言った。「もっと投げたかったが、監督の考えを信じているから」。1番DHで起用した筒香は2打数無安打で代打を送り、6回からクローザー陣を投入する大胆采配。リーグ最高勝率の裏には、勝利を最優先させる上での根拠がある。【四竈衛】