日本ハムからポスティング制度を利用してメジャー移籍を目指してきた有原航平投手(28)が交渉期限直前の25日(日本時間26日)、レンジャーズと2年700万ドル(約7億3500万円)前後(推定)で合意した。先発投手の補強を今オフの最優先事項に挙げるレ軍が、数年前から高く評価していた有原に白羽の矢を立て、パドレス、レッドソックスなど他球団との争奪戦の末、説得に成功した。

今季、チーム最多の6勝を挙げたリンが、FA(フリーエージェント)でホワイトソックスへ移籍したレ軍にとって、有原は意中の人だった。日本ハムが16年から4年間、アリゾナでキャンプを行っていた当時から有原の動向を調査。28歳の年齢ながら、15年新人王、過去6年間で通算60勝を挙げるなど、NPBで豊富な経験を持つ有原を先発2~3番手として期待し、交渉に乗り出していた。

環境面でも問題はない。本拠地ダラスには、17年までに北米のトヨタ本社及び関連会社が移転するなど、日系コミュニティーが一気に拡大。11年にダルビッシュが移籍した当時以上に、ジャパンマネーへの期待も大きいだけでなく、日本から飛行機の直行便が運航するなど、日常生活にも支障は少ない。日本ハムでの背番号「16」も現在は空いており、問題なく愛着のある番号に決まりそうだ。

有原にとって、メジャーは広陵高(広島)時代からの目標。そのマウンドに立つため、まずはスタート地が決まった。【四竈衛】

◆有原航平(ありはら・こうへい)1992年(平4)8月11日、広島県生まれ。広陵3年時に甲子園春夏連続出場。早大ではリーグ通算62試合、19勝12敗、防御率2・72。14年ドラフト1位で日本ハム入団。15年5月15日オリックス戦でプロ初登板初勝利。同年は8勝で新人王。16年は11勝でリーグVと日本一に貢献。19年最多勝。189センチ、95キロ。右投げ右打ち。

◆ポスティングシステム 海外FA権取得前に米球界に移籍できる制度。以前は最高入札額を提示した球団が独占交渉権を得たが、現在は譲渡金支払い意思のある全球団と交渉できる。日本球団への譲渡金は、選手が契約で保証される額により変動する。メジャー契約の場合、保証額のうち2500万ドル(約26億3000万円)までの部分の20%、2500万ドルを超えて5000万ドル(約52億5000万円)までの部分の17・5%、5000万ドルを超えた額の15%の合計となる。契約期間内に獲得した出来高払いの額からは15%が追加で支払われる。