マリナーズ菊池雄星投手(29)の野球人生に大きく影響を与えた1冊の本がある。

29日、メディアプラットフォーム「note」の加藤貞顕CEOとの対談がYouTubeで配信された。菊池が「すごく影響を受けた本。(夢への)熱量とか、行動も大きく変わった」と明かした1冊が、沢木耕太郎著「敗れざる者たち」だった。

14年のシーズンオフのある日、本屋に立ち寄った。「結構苦しんだ年だった。メジャーリーグにいきたいと高校時代から思っていて、実際、結果やスキルが追いついていなかった。諦めるか、でも行きたい、ちょうどはざまですごく悩んでいた時期だった」。5勝11敗、78四球はリーグ最多で不安定な投球が続いていた。“諦める”という言葉が出るほど、弱気になった。

そんな時に「敗れざる者たち」を手に取り、購入した。「燃え尽きるか、燃え尽きないか、そんなフレーズがあるんですけど、『俺はこのままだと燃え尽きないで終わってしまう』と思った」。翌週、行動に移した。米国への航空券を購入し、ドジャースタジアムでMLBを初観戦。「ここ(メジャー)で投げなければ一生後悔する」と肌で感じ、帰国後、球団側に「将来的には行きたいです」と、初めて強い意志を伝えた。

迷い、悩むことはある。プロ野球選手だろうが、どんな職種だろうが「悩みは本質的には変わらない」と言う。年間200~300冊は読むという読書家で、小説や歴史系の本を好む。その中から、「こういう生き方があるんだな」とヒントを得ることもある。精神的にマイナスになった時を含め、繰り返し読んだという「敗れざる者たち」。偶然手にとった本が、夢への挑戦を後押ししてくれた。