【テンピ(米アリゾナ州)24日(日本時間25日)=四竈衛】エンゼルス大谷翔平投手(26)が今キャンプで初めてフリー打撃に登板し、いきなり97マイル(約156・1キロ)をたたき出した。最後の登板となった昨年8月2日(同3日)以来となる実戦形式の投球で、昨季の最速97・1マイル(約156・3キロ)に接近した。二刀流の完全復活へ、前日の打者に続き、投手としても順調な調整をアピールした。

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ラスト20球目。大谷は意図的にアクセルを踏んだ。1球ごとに球速を計測しながらの投球は、それまで平均94~95マイル。最後だけ「ちょっと力を入れた球」は狙い通り、この日の最速をマークした。打者4人に対し速球にカーブ、スライダー、スプリットなど変化球を交えながら20球。練習後は2日連続でオンライン会見に対応し「ある程度、(ストライク)ゾーン内に収まってましたし、1回目にしては良かったと思います」と淡々と振り返った。

トミー・ジョン手術から復帰した昨季は8月に右肘付近を故障し、わずか2試合の登板にとどまった。その後は打者に専念。不本意な1年だった。投手としての復活を期す今季は「常に効率良く投げたい。タイミングが大事だと思う」と、ここまでは主にフォーム固めを意識して調整。右肘への負担軽減をイメージする一方で、球速に制球を兼ね備えた理想型は変えていない。「どちらも大事です。それは並行しながらかなと思います」という。

新たなチャレンジも行っている。この日、日本時代とは異なる動きのチェンジアップも試投した。縦変化だけでなく、左打者から逃げるような軌道を求めるなど、新たな武器の習得にも着手した。「久しぶりに投げて変化も良かった。メインの球になれば」と、徐々に手応えも芽生え始めた。

キャンプインしてから、1週間が経過した。打者としても連日、力強い打球を飛ばしている。「二刀流」での完全復活へ向けて、まずは上々の滑り出しと言っていい。

◆20年エンゼルス大谷投手

▽2月23日 初めてブルペン入り。8割程度の力で20球。最速は81マイル(約130・4キロ)だった。

▽同26日 2度目のブルペン入り。変化球も交えて41球。最速を84マイル(約135・1キロ)まで上げた。

▽3月8日 徐々に調整を進め、5度目のブルペンで42球。打者が打席に立つ状況で90マイル(約144・8キロ)を記録した。

▽3月13日 MLBがキャンプ中断を決定。ライブBPなどの実戦登板は7月の2次キャンプで実施。

▽7月26日 公式戦復帰初戦は打者6人から1死も奪えず降板。直球の平均球速は92・9マイル(約149・5キロ)と球威に欠けた。

▽8月2日 復帰2戦目は直球の最速97・1マイル(約156・3キロ)をマークも、2回には89・1マイル(約143・4キロ)まで落ち込み、右肘靱帯(じんたい)の損傷が発覚した。