ア・リーグMVPに輝いたエンゼルス大谷翔平投手(27)の二刀流の活躍により、米野球界も着実に変わりつつある。全米大学体育協会(NCAA)1部に所属するカリフォルニア大バークリー校は、二刀流選手の育成を積極的に進める。大谷がメジャーに挑戦した3年前に比べ、チームの野手兼任投手の数は倍増した。同校のマイク・ニュー監督(43)が、現状を明かした。

「二刀流VS二刀流」の夢の対決は、そう遠くないかもしれない。日本記者クラブで15日に会見を行った大谷は、二刀流を目指す選手が増えつつあることについて「すごいうれしいことだと思いますね」と話した上で、二刀流対決には「そうなったら楽しい」と心を躍らせた。実際に、米アマチュア球界ではその傾向にある。カリフォルニア大バークリー校のニュー監督は「メジャーレベルで両方やっている大谷は、まさにMVP選手。多大な価値をもたらしてくれた」と声を弾ませた。

大学野球では、スカラシップ(奨学金)制度で有望な選手を獲得するケースが多い。かつては、大学側から「投手でやって欲しい」などと告げられ、1つのポジションでプレーする流れがほとんどだったという。だが、同監督は「もちろん、投手か野手か、どちらかで獲得する場合もあるが、両方できる選手を我々は好む。より多くの選手が二刀流でプレーできるか、尋ねてきている。我々の答えはいつも『イエス』だね。少しずつ(野球界が)変わってきていると思う。それを(大谷が)後押ししてくれた」と明かした。

実際に3年前、同校からタナー・ドッドソン投手(24)が、ドラフト2巡目で二刀流選手としてレイズに入団した。また、バークリー校では今年、チーム内の二刀流選手は6人で、3年前の3人から倍増。中でも最も能力が高い二刀流が、3年生のスティーブン・ゾバック外野手兼投手だ。5月23日のカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)戦では、5番左翼で出場し、5打数1安打。2点差の9回はクローザーとして登板し、1安打無失点でセーブを挙げた。

同監督は、来季以降は先発で起用する考えもあると明かした。「外野を守らせて、指名打者(DH)で起用して、先発する。大谷と似たような役割になるかもしれない」。メジャーレベルで、シーズンを通じて投打二刀流で戦えることを証明しただけではない。大谷はいまや、米アマチュア球界のお手本にもなっている。【斎藤庸裕】