MLBはロックアウトが続いている。分かりにくい今回の論争を「MLB労使紛争の争点を探る」と題し、ニッカンスポーツコムで紹介する。第3回は「ぜいたく税の基準額」について。

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大リーグはニューヨークなど大きな市場を持つ球団と、地方の小都市の球団で収入に大きな差がある。このため、球団の年俸総額に基準を設け、一定以上の年俸を支払う球団には「ぜいたく税」のような形で「税金」を課して、年俸総額の少ない球団などに分配する。これが「competitive balance tax」(CBT=競争的均衡税)だ。

NFLなどにある年俸総額に上限を設ける「サラリーキャップ」と違う点は、MLBの場合はCBTを支払えば上限を超過してもいいということだ。昨年はドジャースとパドレスが超過。ドジャースは総年俸が2億8560万ドル(約314億円)で、約3265万ドル(約35億9000万円)のぜいたく税を支払っている。

21年は2億1000万ドル(約231億円)が、基準額だった。これを超えると、超えた額に対して20%のCBTを支払う必要が生まれた(2年連続して超えると税率が上昇する)。オーナー側は基準額を2億1400万ドル(約235億円)からスタートし、5年間で段階的に2億2000万ドル(約242億円)に引き上げることを提案。一方で選手会側は、初年度の基準額を2億4500万ドル(約270億円)にするよう求めている模様だ。

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日刊スポーツのMLB担当記者が「ぜいたく税の基準額」について話し合った。

記者A「MLBの選手会は世界一の労働組合といわれるくらいなので、プライドにかけてサラリーキャップを阻止したい。しかし現状ではぜいたく税回避の上限額をソフトなキャップとして捉えている球団が結構ありますね。だから2億4500万ドルからという、これまでよりもはるかに高い上限額を提案しているのだと思います」

記者B「総年俸に2億4500万ドルも使う球団はそうないですからね。メッツとドジャースくらいですか?」

記者C「メッツの今のオーナー、コーエン氏は上限がいくらだろうが、使いたいだけ使いそうですね」

記者A「米経済誌フォーブスのデータによると、昨季は総年俸1億6500万ドルを超えたのは15球団、2億ドルを超えたのは7球団だったとか」

記者B「上限額を気にする球団は全体の3分の1もない感じですよね」

記者C「ヤンキースは現在のハル・スタインブレナー・オーナーが上限額を超えないようにという指示を出すことが多いですよね。ここ最近は上限ぎりぎりになると補強を諦めるか、獲得選手のグレードを下げることもあるという印象があります」

記者A「選手会は、こういうヤンキースのようなチームにもっとお金を使ってもらいたいのでしょう」

記者B「というか大物代理人のスコット・ボラス氏がよく言っていますよね。ヤンキースとかブルージェイズに『もっとお金を使え』と」

記者C「ボラス氏は選手会の執行委員8選手中5選手の代理人を務めているので、フィクサー的な存在といえるかもしれません」

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次回は「プレーオフ出場チーム数」について。