鈴木の選球眼やコンタクト力は、小学校時代から“極細バット”で磨かれた。

父宗人さんに頼まれ、荒川リトルシニア会長で金属加工会社「相馬工業」を経営する石墳成良さん(59)が、直径22ミリ、長さ75センチの鉄棒に野球用グリップを付けた。これを使い、ティー打撃でゴルフボール(直径約43ミリ)を打ち込んでいた。通常のバットは直径が約65ミリ、硬式球は約73ミリ。ほぼ3分の1の細さのバットで、約40%小さいボールを打っていた。 石墳さんは覚えている。「小学生の頃から『メジャーに行きたい。英語を勉強しなきゃ』と言っていた」。だが当時は打撃練習は好きだが、ランニングなどの基礎練習は嫌い。なので「高校でも広島でもすごく練習すると聞いて驚いた」。成人式で帰京した際、ジーンズで相馬工業の倉庫でティー打撃。精神的に成長した姿を目の当たりにした。

同シニアで主将だった松村健さん(27)はオフの間、ほぼ行動をともにしていた親友だ。バッティングセンターでは「すごい音がしてボールが爆発したように割れる」と証言する。硬式経験者はボールの下をたたいて変形することも多いが、鈴木は軟式も確実にジャストミートするという。幼少期から磨いた対応力は、メジャーでも光った。【斎藤直樹】