【アナハイム(米カリフォルニア州)22日(日本時間23日)=斎藤庸裕】これぞ唯一無二の二刀流-。エンゼルス大谷翔平投手(27)がロイヤルズ戦に「2番DH兼投手」で出場し、8回2安打無失点、メジャー自己最多の13三振を奪う力投で今季6勝目を挙げた。前日には日本人メジャー最多の1試合8打点をマークし、この日は通算300個目から奪三振ショーを演じた。1試合8打点の翌日に13奪三振はMLB史上初の快挙。3登板連続でチームの連敗を止め、またまた救世主となった。

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こんなことは大谷にしかできない。連夜の自己記録更新パフォーマンスだった。8回2死、スタンドから「MVP! MVP!」の合唱が湧き起こった。8番リベラを2球で追い込み、3球目は鋭く曲がるスライダーで見逃し三振。メジャー自己新の13三振。大歓声を浴びながら力強く拳を握った。「連敗している時に登板するのはなかなかきついですけど、やりがいを感じて仕事ができたのは良かった」。連敗中の登板を意気に感じ、三たび、チームを救った。

技術と気力が結集した力投だった。1回無死一、二塁、3番ウィットを97・4マイル(約157キロ)直球で空振り三振。ダルビッシュ(現パドレス)に次ぐスピードでメジャー通算300Kに達し、ここから奪三振ショーが幕を開けた。縦と横の変化の2種類のスライダー、球速差のある2種類のカーブ、カットボールに加え、スプリットも2種類。直球も含めて少なくとも8球種を操った。「直球を基準にいいコマンド(制球)で投げられていれば、どの球種も問題なく投げられる」。この日の最速は99・9マイル(約161キロ)。変幻自在の「剛と柔」が、自己ベスト更新を可能にさせた。

7回1死から2者連続三振を奪うと、下半身も使って豪快にガッツポーズ。96球でお役御免かと思いきや、志願して8回のマウンドに上がった。「まだ余力がありましたし、投げたいなという気持ちが強かった」。まさに、底なしのエネルギー。9回は交代したが、「3球とかで終われば、まだまだ行けるんじゃないかととは思いましたけど、それよりは8回を最後、1人1人、出し切ることを考えていました」と今季最多の108球を投げ抜いた。

打者で8打点を挙げた前日は延長11回までフル出場し、その翌日に13奪三振。救援陣が疲弊している状況で「なるべく長い回を投げたいと思っていましたけど、ロースコアになる予想もあったので、点をやらないように意識していきました」と、集中力を持続させた。「(連戦で)みんな体も苦しいと思うので、楽な試合はないかなと思いますけど、勝てばまた気分も晴れますし、いい攻撃にもつながったりする。明日休みですけど、また明後日からいい試合ができればいい」。充実感を漂わせ、投打のすごみを凝縮させた2日間を締めくくった。

▼大谷が大リーグで自己最多の13奪三振。過去2度あった12個を更新した。日本ハム時代の自己最多は14年7月9日楽天戦の16個。これで大リーグ通算10度目の2桁奪三振。日本人投手の2桁奪三振10度以上は(1)ダルビッシュ有47度(2)野茂英雄31度(3)田中将大14度に次ぎ4人目。

▼大谷は初回にウィットから三振を奪い、大リーグ通算300奪三振。244回1/3での到達は、ダルビッシュの242回1/3に次ぐ日本人投手2位のスピード。日本人救援投手で最速の斎藤隆(247回)を上回った。