【アナハイム(米カリフォルニア州)28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)の状態が、得意月間で確実に上がってきた。ホワイトソックス戦に「3番DH」で出場し、17号ソロと二塁打2本の3安打2打点。6月の打率(3割8厘)と打球の平均速度(94・9マイル=約153キロ)はともに今季の月間最高値で、上昇度は数字にも表れる。メジャー3度目の1試合3長打はいずれも6月にマーク。打撃好調の“6月の男”は、29日(同30日)に今季13度目の先発マウンドに上がる。

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打席に立つと、打ちそうな雰囲気が漂う。甘い球なら、確実に仕留める。大谷がようやく、その空気をまとってきた。1回2死の第1打席。この日の全打者最速となる打球速度115・2マイル(約185キロ)の超速ライナーで右中間フェンス直撃の二塁打を放った。そして3回の第2打席は中越えに17号ソロ。内角カットボールに詰まったような打球音だったが、グングン伸びた。ホ軍の先発クエトの変則投法にも惑わされず、力強くコンタクトした。

さらに7回、2番手右腕ケリーの98・3マイル(約158キロ)の高め直球を逆方向へ飛ばした。力負けしなかった打球は左越えの二塁打。3方向に打ち分けて、メジャー3度目の1試合3長打を決めた。出場停止中のネビン監督代行の代行を務めるモンゴメリー・ベンチコーチは「(大谷の打撃は)ここ3週間くらいで、良くなってきている。変化が起きている。あとはこれを継続するだけ」と評した。

打席での構え方、スイング軌道、タイミングなど、動きと感覚が合致してきたことは数字にも裏付けられている。MLB公式データ「スタットキャスト」によると、6月の平均打球速度は94・9マイル(約153キロ)。不調だった4月の同91・8マイルから3マイル(約4・8キロ)上昇した。7本塁打を放った5月の同92・8マイルと比べても、明らかに力強い当たりが増えてきた。ハードヒット(打球速度95マイル以上)も4月が26本、5月が35本で、6月は38本で最多。例年、得意とする月間で一気に調子を上げてきた。

「打者大谷」だけではない。今月は「投手・大谷」も3勝1敗、防御率1・88と好調。29日(日本時間30日)には、自身4連勝での7勝目をかけて、6月のチーム最終戦のマウンドに上がる。本塁打王を惜しくも逃し、最後の最後で10勝に届かなかった昨シーズンとは違う。今季の二刀流のピークは、まだまだこれから。得意月間をきっかけに、投打で波に乗ってきた。

▽チームは投壊の17安打11失点で大敗した。4番手のペゲーロが6回1死満塁のピンチを併殺打で切り抜けたが、7回に崩れて4失点。速球とスライダーでグラブの位置が違う癖が出ていることを、トラウトが中堅からジェスチャーで伝える場面もあった。トラウト、大谷の今季2度目の2者連続アーチで序盤はリードしたが逆転負け。連勝は2でストップした。

▽エンゼルスは7月、正念場の戦いを迎える。1日からア・リーグ西地区首位のアストロズと敵地で3連戦。その後、マーリンズ2連戦、オリオールズ4連戦と米国東海岸の遠征試合が続く。オ軍は強豪球団ひしめくア東地区の最下位だが、侮れない強敵。球宴前のラスト5連戦は本拠地での戦いだが、再びアストロズとの3連戦から、締めの2連戦はナ西地区首位のドジャースが相手となる。