エンゼルス大谷翔平投手(28)が、祝砲を打ち上げた。ツインズ戦に「2番DH」で出場し、3点を追う8回に26号ソロ。試合の流れを変え、延長11回のサヨナラ勝ちにつなげた。

試合前には対戦相手ツ軍のカルロス・コレア内野手(27)の妹で大谷の大ファンだというレイバイサンドさんと写真撮影。この日が14歳の誕生日でユニホームにサインし、試合ではお祝いの1発を届けた。

   ◇   ◇   ◇

大谷が捉えた打球は、熱烈なファンの願いに後押しされたかのように、中堅フェンスをギリギリで越えた。角度38度で高く舞い上がったアーチは、外野の名手バクストンのジャンプも及ばず、3試合ぶりの本塁打となった。ツ軍の主力選手コレアの妹レイバイサンドさんはバックネット裏の最前列で立ち上がって拍手。14歳の誕生日を祝う1発に大喜びだった。

大谷の大ファンで観戦を楽しみにしていた妹のために、兄のコレアが動いた。試合前、両チームの球団広報を通じ、妹と大谷の面会を頼むと、快く応じてくれたという。記念撮影とサインでレイバイサンドさんの誕生日を祝福。コレアは「彼女はこれから長い間、このことを覚えていると思う。床にこぼれ落ちるくらいの涙を流していた。(試合前の調整で)忙しいのにもかかわらず写真を撮ってくれて、大谷にすごく感謝している。彼は、最高のスーパースターだよ」と、うれしそうに振り返った。

国の垣根を越え、プエルトリコ出身の敵軍ファミリーをもとりこにする二刀流。レイバイサンドさんは面会時、懸命に学んだ日本語で言葉を交わしたという。「彼女は彼に夢中で、それは僕もうれしいんだ。彼は模範となる人。歴史をつくり、彼のような人をリスペクトするのはいいことだよ」と笑顔のコレア。自身は先制ソロ本塁打を放つも、チームはサヨナラ負けを喫したが「僕も打ったし、彼女にとってパーフェクトな日になった」。大谷の26号ソロは観衆4万3027人を盛りあげ、ファンに幸せを呼ぶアーチとなった。【斎藤庸裕】

○…大谷は同点の延長10回1死三塁から、リーグトップの今季12個目の申告敬遠で勝負を避けられた。続くレンヒーフォの打席の初球に二盗を試みたが、レンヒーフォが打ちにいき、中堅ライナー。一塁へ帰塁出来ず、併殺で好機を逸した。痛いミスだったが、続く11回にウォードのサヨナラ弾でチームは勝利。ネビン監督代行は「あれ(10回の無得点)は私の責任。それでも選手たちが助けてくれてうれしい」と振り返った。