メッツ千賀滉大投手(30)が今季2戦目、本拠地初先発のマウンドで6回3安打1失点6奪三振と好投し、デビュー戦に続き、2連勝を飾った。最速は98・3マイル(約158・3キロ)をマーク。三振のたびに「ゴースト」のイラストが大型スクリーン映し出されるなど、早くも地元の人気者となってきた。

メジャーでは新人でも、日本球界で87勝を挙げた右腕の経験値はハイレベルだった。初勝利を挙げた2日と同じマ軍打線が相手。「通常通り、しっかり地に足を着けて準備からできたと思います」。身体だけでなく、配球もさえていた。

初回、先頭のチズムを時速158キロの速球で見逃し三振。2ストライク後、低めのゾーンをフォークと予想して見送った相手の裏をかくかのように、剛球を投げ込んだ。2回の3者連続三振は、内角高め、真ん中低めのフォークで空振り。最後は、ストライクからストライクに落ちるフォークで見逃しと、同じ球種を高低、コースに投げ分けて相手打者を幻惑した。

対戦が続けば、相手も対応してくるだけに、同じ組み立てで勝てるほど甘い世界ではない。「何回もやれば、フォークを振らないようになる。幅広くやって、今後も対策していく」。速球を前回の36%から44%に増やした一方、フォークは30%と18%へ減らし、ボール先行カウントでは、スライダーやカットボールを多用した。

日本で「お化けフォーク」と呼ばれた宝刀は、「ゴーストフォーク」と直訳され、アッという間に地元ファンに定着。千賀が三振を奪うたびに、大型スクリーンに揺れるお化けのイラストが映し出されるようになった。「少しビックリしましたけど、非常に有り難いと思います」。

デビュー以来の2連勝で、メ軍も貯金「1」に復帰した。それでも、千賀は6回の1失点を反省点に挙げた。「点を取ってもらった後で、試合の流れを分からなくしてしまった」。勝っても満足せず、先を見据える心構えは、やはり新人の領域ではない。