パドレスのダルビッシュ有投手(36)が、メジャー通算100勝を達成した。ロッキーズ戦に先発し、6回途中4失点と苦しみながらも、打線の援護もあり、今季5勝目(4敗)を挙げて節目の数字に到達した。日本人選手では、通算123勝の野茂英雄以来、史上2人目。今後は、あと「7」と迫った日米通算200勝(NPB93勝)に挑むことになる。

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ダルビッシュの投球は、メジャーリーグの傾向とともに年々変化してきた。渡米直後の12年は、カットボールやツーシームなど「速く小さい変化で打たせて取る」がリーグの主流だった。ダルビッシュも、この2球種で約36%を占めていた。

その後「フライボール革命」によってリーグの本塁打が急増し、16年には5000本を超えてきた。低めの球をアッパースイングですくい上げる打者に対抗し、今度は高めに直球を投げ込むブームが巻き起こる。ダルビッシュも16~18年には35%以上を占めるようになった。同じ「曲がる系」でも、カットボールよりスイーパー(横に大きく曲がるスライダー)やスライダーが増えていった。カーブやスプリットといった、落差のある変化球も、一定の割合を占めている。

26歳で渡米したダルビッシュは、今年で37歳を迎える。一般的に投手は30代半ばともなれば球速が落ちがちだが、ダルビッシュは違う。15年のトミー・ジョン手術後に球速が上がり、最近4年は直球の平均が152キロを超えている。直球の被打率も過去3年は1割台で、今季も2割台前半だ。「変化球投手」を自認するが、質の良い直球があってこそ、変化球も生きる。衰えとは無縁に感じるが、いつまで進化を続けるのか注目だ。【斎藤直樹】