【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)21日(日本時間22日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、新たな日本人の歴史を刻んだ。メッツ戦に「2番DH」で出場し、3回の第2打席で今季5号の先制2ランを放った。メジャー通算176号で、松井秀喜氏を抜いて日本人メジャーリーガーの最多記録を更新した。3打数2安打2打点でチームの連敗は3でストップ。究極の打者を追い求めながら、ポストシーズン、その先の頂点を目指す。

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大谷はきれいな弧を描いた打球を見上げた。青空に舞い上がった白球を、歩きながら眺めていた。日本人の歴史を刻む1発の余韻に浸ったのは一瞬だった。ダイヤモンドを一周しながら「まぁ、先制点だなと、その時は。あまりそういうこと(記録)は忘れていて、先制点取れて、いいバッティングだったなと」。3回1死一塁からハウザーの真ん中スライダーを捉えた決勝2ラン。記念の“価値”ではなく、チームの“勝ち”が何よりうれしかった。

少年の頃から憧れた松井氏を超え、日本人の歴史を塗り替えた。12日のパドレス戦以来、38打席ぶりのアーチ。もっとも、意識したのは「最近になってどのくらい松井さんが実際に打っていたかを知ったので、初めからというわけではなかった」という。「最近知ってからは目標にしてましたし、早く打ちたいなとは思っていました」。個人の数字が二の次になったのはチーム打撃を優先してきたからこそだった。

昨季、日本人初の本塁打王を獲得した。リーグMVPは過去2度。悲願のプレーオフ進出とワールドシリーズ制覇を目指す中、理想とするのは究極の打者だ。

「ホームランだけを狙っているわけではないですし、バッティング自体は可能性を広げていく作業。四球、単打、二塁打、ホームランもあるし、ということだと思っているので。その可能性を広げる中で、ホームランがあるかないかで相手にかかるプレッシャーも違う。来るボール自体にも多少影響する。そういう意味では自分の長所でもあるので、大事にはしていきたい」

現時点でリーグ首位打者に加え、安打数と二塁打数もトップ。さらに今季は盗塁増を狙い、走塁改革にも取り組んだ。全てにおいてトップを目指せば、層の厚いド軍なら自然と勝てる試合も増えていく。「個人的には特別な1本でしたけど、これからシーズンはどんどん続いていくので。早いところ切り替えて次に臨みたい」。メジャーでは、ここまで4・1試合に1本のハイペースで176本を積み上げたが、今後、求めていくのは本塁打の数よりも質。勝利に直結する場面で、どれだけ打てるかに重きを置く。

個人記録への感情は、後になって湧き出た。「素直にうれしいですし、ちょっと前回のホームランから(時間)かかってはいるので、早く打ちたいなと。今日打てたので良かった。まずは安心と喜びがある」。3連敗で沈んでいたチームを一気に盛り上げた豪快弾。究極の打者を目指しながら、最高の形で節目の本塁打を飾った。

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