【グレンデール(米アリゾナ州)4日(日本時間5日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が取り組む新投球フォームの全貌が、明らかになった。同地入り2日目、グラウンドで本格的な投球練習を行い、全球をこれまでのセットポジションではなく、ノーワインドアップで投げ込んだ。さらに、左手の動きを修正。2年ぶりの「二刀流」復活へ向けて、「25年型」の新投法で臨むことになりそうだ。
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もはやリハビリ段階ではなく、本格的な投球練習だった。クラブハウス脇で行った前日のキャッチボールから一転、広いグラウンドへ足を運んだ大谷は、集中力を高め、力強く腕を振った。軽めに始まったキャッチボールは最長約50メートルまで距離が伸び、ステップを入れて投げるなど、次第に力感は増した。
投本間の距離となった際には、捕手が中腰の状態から始まり、最後は座った状態で約20球。直球、スプリットやツーシームなどの変化球も交え、途中で数分間のインターバルを挟むなど、平地ながらも小気味よく捕手のミットを鳴らした。その全投球を、昨年までのセットポジションではなく、ノーワインドアップで投げ込んだ。さらに、左手の使い方も変えた。これまではグラブをホーム方向へ出した後に巻き込んでいたが、新バージョンでは右腕を振り上げると同時に体の前でグラブをたたみ、体重移動へ進む動きに修正した。
現時点で、フォーム修正の意図は明らかではない。調整段階でもあり、試行錯誤している可能性もある。昨年のワールドシリーズ後に受けた左肩手術の影響も考えられる。ただ、大谷はこれまでに、打撃だけでなく、投球でも「構え」の重要性を口にしてきた。その一方で、投打ともにできる限り「無駄を省く」ことを意識しており、ノーワインドアップ&左手の動き変更に、明確な目的意識があることは間違いない。
ブルペンでの投球練習は、ロバーツ監督、コーチ陣らが合流するバッテリー集合日の11日(同12日)以降と見込まれるものの、汗がしたたるほどの強度からも、すでに「ブルペンOK」の状態。ド軍としては、「投手大谷」の復帰を5月前後に設定している一方、同監督は「早まるかもしれない」とも発言した。最高気温30度の同地で、大谷の巨大エンジンが、着実に温まってきた。
◆背景 ノーワインドアップの利点があるとすれば、「ピッチクロック」への対応を考慮している可能性はある。現行のルールでは、投手がボールを受け取ってから無走者の際には「15秒」、有走者で「18秒」で投球動作を始めなくてはいけない。セットポジションの場合、グラブが動き出す、または足を上げ始めた時に時計がストップする。大谷がノーワインドアップになれば、左足をプレートから後方に動かした時点で「始動」とみなされ、時計がストップするため、投球するうえでわずかに「間」が生まれることになる。かつて大谷は、メジャー投手の故障増の一因として「ピッチクロック」を挙げたこともあるだけに、その対策としてフォーム変更を試しているのかもしれない。



