【トロント(カナダ・オンタリオ州)25日(日本時間26日)=斎藤庸裕】ドジャース山本由伸投手(27)が、再び日本人初の偉業を成し遂げた。ブルージェイズとのワールドシリーズ(WS)第2戦に先発し、9回4安打1失点、8奪三振、105球の力投で完投勝利した。ポストシーズン(PS)で日本人初の完投勝利を飾ったリーグ優勝決定シリーズ第2戦に続き、PS2試合連続完投は01年シリング(ダイヤモンドバックス)以来、メジャー24年ぶり。球団では88年ハーシュハイザー以来、37年ぶりの快挙となった。「1番DH」で出場した大谷翔平投手(31)は第4打席で右前打を放ち、貴重な追加点につなげた。ド軍は1勝1敗のタイとし、第3戦から本拠地ロサンゼルスに戦いの舞台を移す。
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山本は高く上がったポップフライを指さした。捕球されたのを見て、捕手スミスと笑顔で抱き合った。懸命に腕を振った105球。マウンドでナインを迎え、三塁手マンシーからウイニングボールを受け取った。「チームの戦力になれたという実感がするので、そこがすごくうれしい」。WSで日本人初の快挙や、24年ぶりとなる2連続完投の偉業よりも、「フォア・ザ・チーム」を貫徹できたことが何よりの喜びだった。
先勝されて迎えた第2戦、連覇への命運を託された。「初戦落としただけに、当然ですけど、今日は絶対勝たなきゃいけないなと、気持ちが入りました」。先制した直後の1回、無死一、三塁のピンチから3番ゲレロと対した。内角低めを中心にシュート気味に落ちるスプリットで攻め、最後はカーブでタイミングを外した。制球ミスはない。今季PSで打率4割3分1厘と大当たりの主砲との7球の攻防を制し、空振り三振。「初回は走者をためましたけど、なんとかゼロで乗り切れた」と粘り腰でしのぎ、流れを渡さなかった。
無失点で終えた一方、1イニング目に23球を要した。「最後まで行けるとは思いませんでしたけど、しっかり1イニングずつ投げていけた」。2回、内野フライを一塁手のフリーマンが落球した。まさかのプレーがあっても、ここで崩れない。続く3人を凡退。圧倒的な投球でカバーした。3回1死一、三塁から同点犠飛を打たれたが、そこから球団新記録の20人連続アウト。スプリットを多投した序盤から打者の反応を踏まえ、3巡目以降はスライダーやカットボールを増やす臨機応変さも際立った。
メジャー2年目でエースと称され、オリックス時代の21年からチームを毎年頂点に導く優勝請負人と呼ばれる存在となった。だが、高校時代は目標の甲子園に行けなかった。ドラフト4位指名でプロ入り後、4年間は4位以下が続き、2年連続最下位も味わった。「弱い時も経験したし、そこから強くなっていく過程も経験できた。その中で頑張り続けて、今こういうところにいるのかなと」。苦境に屈せず、勝つための道を切り開いていく。その挽回力は、WSの大舞台で力投する姿とも重なった。
敵地トロントのファンを黙らせ、ブ軍の勢いを完全に止めた。1勝1敗のタイとし、第3戦から本拠地で3連戦を行う。球団史にも名を残す快投で名だたる名投手と比較され、記者会見の最後は戸惑いながらも「とにかくうれしいです」と満面の笑み。偉業にも気を緩めない。夢の連覇へ、まだ先がある。
◆01年のシリング(ダイヤモンドバックス) ポストシーズンで連続完投したのは01年に3試合連続でマークしたカート・シリング以来。シリングはカージナルスとの地区シリーズで10月9、14日に中4日で連続完投(9日は完封)。さらに中4日で同19日のリーグ優勝決定シリーズ(対ブレーブス)でも完投勝利。ワールドシリーズではチームを初の世界一に導き、ランディ・ジョンソンとともにMVPに輝いた。
◆88年のハーシュハイザー(ドジャース) ドジャースのポストシーズンで連続完投は「ドクターゼロ」こと88年オーレル・ハーシュハイザー以来37年ぶり。ハーシュハイザーはメッツとのリーグ優勝決定シリーズで10月12日に完封。同16、20日にはアスレチックスとのワールドシリーズで完封、完投勝利を挙げ、中3日を続ける3連続完投勝ちで世界一。シーズン中はメジャー新の59回連続無失点を記録し、リーグ優勝決定シリーズ、ワールドシリーズでともにMVPと驚異的な活躍を見せた。



