【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)27日(日本時間28日)=四竈衛】大熱闘の裏に、覚悟のスタンバイがあった。25日の第2戦で完投勝利を挙げたドジャース山本由伸投手(27)が、中1日で救援する準備をした。10投手が登板し、もはや無人となったブルペンへ自ら志願して向かい、投球練習を開始。登板直前の18回で決着が付いたが、エースとしての自覚、「おとこ気」でチームの士気を上げた。
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すべては、チーム全員で1勝をつかみ取るためだった。いつ終わるとも知れぬ、緊迫した延長戦。佐々木、シーハン、カーショー…と続き、10番手クラインが回を重ね始めた頃、ベンチで戦況を見守っていた山本は腹をくくった。「もう投手もいなかったので、行くしかないと思いました。体調的にも今日は行けると思ったので行きました」。首脳陣に自らの意志を伝え、クラブハウスの裏道からブルペンへと向かった。
25日の105球完投からわずか中1日。その間、3時間の時差があるトロントからロサンゼルスへ移動した。メジャー2年目の今季は、チームで唯一、先発ローテを守り、ここまでPSを含めて34試合に先発。疲れがないはずはない。それでも、爽やかな表情の裏で「おとこ気」がうずいた。「最初は、監督が絶対いいと言わないだろうと思ったんですけど、もうどうしても仕方なかったので、準備しながら話し合おうとなって…」。ロバーツ監督によると、予定では19回から登板。「あとは我々が必要とする限り」と、山本と「心中」する覚悟だったことを明かした。山本も「とりあえず、1イニングずつ。まあ、止められるまで」と、最後まで投げ続ける腹づもりだった。
その一方で、山本自身は確たる自信を持って、スクランブル登板を志願していた。オリックス時代の2年目。1軍での登板後、10日間ほど投げられない時期を経験し、体力不足、体調管理の未熟さを痛感した。その後は、柔道整復師の矢田修氏の助言を受けつつ、独自のトレーニング、リカバリー法を確立。「こういう試合が投げられるように何年も練習してきた。ワールドシリーズで完投して2日後に投げられるような体になったのは、すごく成長を感じます」。
結果的に山本が登板することなく、ド軍は熱戦に終止符を打った。「こんな大接戦で、全員で勝てたのはすごくうれしかったですし、本当に良かったです」。試合後の公式記録に、山本の名前は残っていない。だが、勝利後、ブルペンから戻って来た山本を、大谷、佐々木ら同僚は満面の笑みで出迎えた。投げずとも、「おとこ気」と存在感でチームに安心感を与えられる選手は、メジャー広しといえど、そう多くはない。



