マリナーズ・イチロー外野手(35)は13日朝、セントルイス郊外にあるジョージ・シスラーの墓を訪ねた。2004年にイチローが破るまで1920年から80年以上もシーズン最多安打記録を守り続けたシスラーの墓碑には「1973年3月没」の文字。その年10月に生まれた後輩は「なにか特別な思いがした」とあらためて感慨を覚えたそうだ。

 セントルイスを訪れるのは2度目になる。前回は2004年の交流戦。その約3カ月後にシスラーを乗り越えた。「2004年に(安打記録更新で)シスラーさんをちょっと起こしちゃって、今回もまた突然起こしてしまった。お休み中にすいません、という感じでしたね」。

 シアトルからのチャーター便ではワカマツ監督とじっくり話し込んだ。「監督は野球だけ、という考え方をしない。いろんなことが(野球に)通じると考えるのが日本人ぽい」。お互いの理解を深める、有意義な約3時間の交流だった。

 昨年までの同僚、深い信頼で結ばれていたイバネス(フィリーズ)との再会も実現した。「ラウル(イバネス)がフィリーズに行って初めての年にオールスター。そこに僕も来ることができた。これも僕にとっても大きなこと」。

 連続出場の9年は今回選出メンバーで最長。しかし、何度出場を重ねてもイチローの心は新鮮さを失わない。球宴は、たくさんの「大きなこと」を再発見する晴れ舞台になっている。