【シアトル(ワシントン州)12日(日本時間13日)=木崎英夫通信員】マリナーズ川崎宗則内野手(31)が「初タイトル」にノミネートされた。大リーグOB協会(MLBPAA)が、元気あふれるプレーでアピールした選手に贈る「ハート&ハッスル賞」の候補30人を発表。マ軍からは川崎が選出された。シーズンは今日13日(同14日)から後半戦が始まる。

 元気が身上の川崎のためにあるようなノミネートだった。各球団OBによる1次選考により、川崎がマ軍代表で「ハート&ハッスル賞」で候補入り。午後4時半過ぎから約2時間の全体練習を終えた川崎は「(昨年の候補者)オリボの次に僕が選ばれて、ハッピーです!」と素直に喜んだ。

 同賞は設立から8年目とまだ歴史は浅いが、野球の発展と伝統、そして威厳を守る大リーグOB会が候補者を厳正に審査。「野球への情熱」を最も体現した選手に授与される。過去6人の受賞者はケガを恐れず全力プレーに徹した選手ばかりで、グラウンド内外での影響力も加味される。候補入りはチームに欠かせない存在として認められたに等しい。

 しかもメジャー1年目で、ベンチ要員からのノミネートは異例ともいえる。30人の候補の中では、前半戦の出場試合(38)は最も少ない。ただムードメーカーに徹する存在感は大。フィールド内外で気後れすることなく日本語を口にし、ナインを鼓舞する。試合前練習からスライディングをしてただ1人ユニホームを汚すなど、抜かりない準備は仲間の共感を呼んでいる。それだけではない。生き残りに必死だったキャンプから、キャッチボールの前にボールが入ったバッグに駆け寄り、他の選手に投げ渡す気配りを忘れなかった。「チームのためになればこそ」の献身的な姿勢が、周囲の尊敬を集めている。

 前半戦は途中出場が主だったが、代走、守備固めで勝利に貢献した。同賞については「知りませんでした」と苦笑いしたが、「賞とつけばブービーでもうれしい」と歓迎。「毎日楽しく生きてました」と球宴休みの間に心身ともリフレッシュし、後半戦も変わることなく熱い姿勢で試合に臨む。

 ◆ハート&ハッスル賞

 大リーグOB協会が主催し、05年にスタート。野球への情熱にあふれ、闘志みなぎるプレーを体現し、野球の伝統を継承する選手に授与される。各球団OBが選出。今後は現役選手、OBらが後半戦のプレーを見ながら投票、受賞者が11月13日に発表される。選考基準はハッスルプレーの他にグラウンド内外での影響力も加味され、今ノミネートでは全30選手が野手。日本人選手では07年にカージナルス田口がカ軍代表でノミネートされた。