【ボストン(米マサチューセッツ州)23日(日本時間24日)=四竈衛】マー君、緊急フル回転も-。ヤンキースの先発右腕マイケル・ピネダ投手(25)が、レッドソックス戦の2回裏、不正物質を使用したとして退場処分を受けた。レ軍側の抗議を受け、審判団がチェックしたところ、首の右周辺に松ヤニが付着しているのを確認。即座に退場が宣告された。今後、同投手には出場停止が科せられることもあり、ヤ軍は先発ローテを再検討。田中将大投手(25)が、早くも中4日でフル回転する可能性が出てきた。

 問題が起きたのは2回裏。2死走者なしでサイズモアの打席中にレ軍ファレル監督が抗議。デービス球審が検査を要請したところ、首の右周辺に粘着性のある物質を付けていることが明らかになった。同球審は試合後に「松ヤニだった」とコメントした。ピネダも事実を認め「ファンや同僚、すべての人に申し訳ない。ミスを犯したが、2度と起こさない」と神妙な表情で謝罪した。

 地元テレビの映像などによると、初回に不審物質は見当たらない。ピネダも1回に4安打で2点を失ったことで「1回に球が手に付かず、打者に当てたくなかった」と説明している。ただ、ピネダには以前から疑惑があった。10日のレ軍戦で、右手の一部に茶色の物質を付けていた映像がテレビ画面で大々的に映し出されたが、最終確認できず、処分にはいたらなかった。

 12年には、レイズのジョエル・ペラルタが、松ヤニ使用でMLBから8試合の出場停止処分を受けた。ピネダも10試合程度の処分となる見込みで、右肘手術で今季絶望のノバに続き先発投手に欠員が出る。キャッシュマンGMは「彼の責任だが、ダッグアウトから出た以上、我々、フロント全体の責任でもある」と話しており、球団として、さらなる厳罰を科す可能性もある。

 今回の一件で、今後の先発ローテーションは未定となったが、サバシア、黒田、田中の3人は、次回以降、中4日でフル回転を強いられる可能性も十分。開幕後、1カ月も経過しない時期から、田中への負担が大きくなりそうな気配が高まってきた。<過去の不正投球アラカルト>

 ◆紙ヤスリ

 タイガースのブライアン・モーラー投手が99年5月1日のレイズ戦で、ボールに傷をつけ、指がかかりやすくする「スカッフボール行為」で退場。グラブの親指部分に、10セント硬貨ほどの大きさの紙ヤスリを貼り付けていた。また元ヤンキースのホワイティ・フォードは、指輪でボールを傷つけていた。

 ◆接着剤

 ロッキーズ戦に先発したエクスポズ(現ナショナルズ)のザック・デイ投手が03年5月17日、右手中指にできたまめを保護するため、3回から接着剤を塗って投球。指に異物をつけて投げたとして退場になった。

 ◆つば

 ヤンキース伊良部が97年7月26日のマリナーズ戦の2回に、手につばをつけた反則行為で「ボール判定」を科された。「スピットボール」と呼ばれ、指先を滑らせ指のかかりを少なくすることで、ボールの回転数を減らし、打者の手元で鋭く球を変化させることができる。

 ◆ワックス

 不正投球投手として最も有名なのは、元ジャイアンツのゲイロード・ペリー。帽子のつばの裏にワックスを塗ったり、ワセリンを使ったり、あらゆる手段を講じ、引退後は「スピットボールと私」という本まで出版した。

 ◆2段モーション

 パドレス大塚晶則投手が04年5月1日のメッツ戦で、グラブからボールを出し入れする動作を2段モーションだと抗議されたが、大リーグ機構が提訴を退けた。