【ミネアポリス(米ミネソタ州)6日(日本時間7日)=四竈衛】マー君とダルが、夢舞台で初競演する-。大リーグのオールスター戦(15日=同16日、ミネアポリス、ターゲットフィールド)の出場選手が正式発表され、ヤンキース田中将大投手(25)が初選出された。先発投手にファン投票はなく、選手間投票で1位に推された。同投票では日本人投手初、新人投手では異例の「トップ当選」を果たした。

 夢舞台の開催地で初出場を知らされた田中にとって、選手間投票の第1位こそ、最高の喜びだった。ファン投票は野手に限られるため、投手にとって最高の評価が、同じグラウンドに立つ選手からの1票。しかも1位選出は、日本人投手初の快挙だ。「選手から評価されて選んでいただけたことが、やはりうれしい。イメージで選ばれる部分もあるかもしれないですが、一応、数字があるという部分で。実際の打席では、ショボいと思われるかもしれないですけどね」。メジャートップの12勝に、リーグ2位の防御率2・27。文句なしの成績でも、あくまでもルーキーらしく、謙虚に笑った。

 予定通りなら8日(日本時間9日)のインディアンス戦に続き、球宴前最後の13日(同14日)のオリオールズ戦に先発する。ナイター登板後に、ジーターら他の選出仲間とともに、プライベートジェットで再びミネアポリス入りする予定。ただ、降雨順延などで登板予定が変わらない限り、球宴登板はない可能性が高い。ジラルディ監督は「日曜日(13日)に投げるからね。それも仕方ないよ」と、チーム事情を説明した。田中も「雰囲気を楽しめればいいし、それ(登板機会)は自分で決められることじゃない」と、必要以上にこだわってはいない。

 ただ、田中にとっては、他球団のスーパースターと一緒に過ごす時間は、かけがえのないものになる。「英語が話せないんで」と言うものの、早くも球宴常連となったダルビッシュを通してコミュニケーションを取ることも可能。ヘルナンデス(マリナーズ)らタイトル争いのライバルと情報交換ができれば、貴重な財産となるに違いない。

 夢舞台で投げないとなれば、あとは目の前の試合に集中するしかない。「残り2試合も勝って、オールスターにいい気分で臨みたいと思います」。真夏の祭典を楽しむためにも、きっちりと結果を出して折り返したいところだ。

 ◆選手間投票

 03年から導入。球宴で勝利したリーグがワールドシリーズの開幕権を与えられることになり、より戦力の高い編成を目指せることや、全30球団の選手が選出できるようにするのが目的。選手の他にも監督、コーチが自軍選手を除き、投手は先発5人と救援3人で野手は内野各ポジション1人と外野手3人に投票。昨季、ダルビッシュは4位、岩隈は5位で選出。<14年球宴選出アラカルト>

 ◆ファン投票最多得票

 ア・リーグ外野手部門のバティスタ(ブルージェイズ)が585万9019票で最多。ナ・リーグ最多はトロウィツキー(ロッキーズ)の534万9456票だった。

 ◆最多選出

 今季限りでの引退を決めているジーター(ヤンキース)が最多14度目の選出。

 ◆キューバ勢

 5人のキューバ出身が選ばれ、そのうち4人が初選出。外野手プイグ(ドジャース)はファン投票、一塁手アブレイユ、遊撃手ラミレス(ともにホワイトソックス)、外野手セスペデス(アスレチックス)はいずれも選手間投票でメンバー入りした。

 ◆トレードで出場不可

 5日にナ・リーグのカブスからア・リーグのアスレチックスにトレード移籍したサマージャが選出。規定によりベンチには入れるが、出場は出来ない。