「ナシンガン打線」が息を吹き返した。楽天が今季最多の20安打で西武に大勝し、連敗を3でストップ。西武に13勝10敗1分けとし、球団史上初めて、シーズンを通しての勝ち越しを決めた。5号3ランなど5打点のフェリックス・ペレス外野手(31)を筆頭に、先発全員安打をマーク。チームは再び4位に浮上した。

 止まらない快音を象徴するように、ペレスがビッグな1発を打ち上げた。6回無死一、二塁。フルカウントからの7球目は真ん中高めの絶好球。自画自賛の5号3ランは「勝つまで油断できないからね。これ以上の打球は打てないよ」。言葉どおり、美しい弧を描いて右翼スタンド中段に吸い込まれた。

 全員が打って打って、とどめの一撃へと盛り上げた。2回先頭、先制の口火となったウィーラーの左前打から始まり、4連打が飛び出した5回には早くも2ケタ安打に到達。14年4月のロッテ戦で記録した球団最多24安打には届かなかったが、気がつけば今季初めて20安打の大台に乗せた。梨田監督は「久しぶりにチームとしてつながったね」と胸をなで下ろした。

 前日までは3連敗。ソフトバンク武田、ロッテ石川、西武菊池とエース級との対戦が続いたこともあり、3試合でわずか1得点に沈んだ。そんな中で前日、一矢報いたのはペゲーロのソロだった。10日の日本ハム戦で初めて並んだ2番ペレス、3番ペゲーロ、4番ウィーラーの3助っ人。西武の強力打線を上回る重量級ラインアップが存在感を放っている。

 若さあふれるルーキーズはシーズン終盤でも元気だ。新人王の候補に挙がる茂木は猛打賞。前日の適時失策で、リーグワーストとなる18個目の失策がつき、「まだまだダメです」と自分に厳しいが、働きぶりはミスを補って余りある。指揮官は「プロ1年目で慣れないショートを守って、これだけ打つ。評価するに十分じゃないか」と目を細める。捕手で先発出場した足立は適時打のほか、守備でも前夜3盗塁の西武金子侑を刺した。

 西武を圧倒する10得点で今季ここまで13勝10敗1分け。球団創設以来初めて、シーズンを通して勝ち越しを決めた。ワシの獅子食いは、圧巻だった。【鎌田良美】