4番大山で下克上日本一へ。阪神ドラフト1位の大山悠輔内野手(22)が、明日14日開幕のDeNAとのCSファーストステージ(甲子園)で、4番を務める可能性が浮上した。金本知憲監督(49)が12日、好調ルーキーを4番起用する大胆プランを明言。新人のポストシーズン4番が実現すれば球団史上初めてだ。球界でも1986年(昭61)、あの西武清原和博以来31年ぶり。球史を動かし、CS突破に勢いをつけるか。

 決戦を直前に控えた金本監督が目尻を下げた。センター方向に打球が伸びる。視線の先でバットを振っていたのは、ルーキー大山だ。気持ちよさそうにボールを飛ばすプロ1年生。指揮官は「だいぶ、状態がいいね。疲れも取れてきたのかな」とコンディションの良さを感じ取った。そして驚きのプランを口にした。CSでの大山4番起用だ。

 金本監督 (打線の)並びによっては、あるかもしれないよ。調子のいい者を使っていかないと。長い期間を見据えて戦うわけじゃないから、その時にいいのを使っていく。守りや走れる選手を優先させることはあるかもしれないが、基本的には調子のいい選手、乗っている選手を使っていく。

 今の大山は乗っている。今季最終戦となった10日の中日戦では左翼席にたたき込む7号ソロを放つなど、2安打4打点。特にレギュラーシーズンラスト4試合は11打数6安打、1本塁打、6打点の大当たり。2四死球もゲットするなど、出塁率は6割1分5厘と絶好調だ。

 初戦の先発が予想されるDeNA今永とは対戦は少ないが、今季3打数1安打、打率3割3分3厘。チームトップ79打点の福留も4番候補ではあるが、乗っている男が打線の中心に座っても不思議ではない。

 大山 一時期よりは振れている感覚はあります。ただ、いくら調子が良くても、試合で打てないと意味がない。いかにコンタクトできるか。(今日は)風もあるけど、逆方向に強い打球が飛んでいると思う。継続したい。

 長いプロ野球の歴史でも、入団1年目のルーキーがポストシーズンで4番を務めた例はほとんどない。実現すれば86年、あの西武清原以来、31年ぶりの「快挙」だ。「負けられない試合だと思う。しっかり準備したい」(大山)。イチローも、松井秀喜も成し得なかったルーキーイヤーのポストシーズン4番。大山が球史に名を刻み、CS突破、下克上日本一の使者になるかもしれない。【桝井聡】

 ▼大山がCSで先発4番を務めれば、新人選手としては史上初(パ・リーグの73~82年、04~06年プレーオフ含む)。日本シリーズでは過去4人あり、86年清原和博(西武)以来31年ぶりとなる。セ・リーグの選手では、58年長嶋茂雄(巨人)以来59年ぶり。

 ▼ポストシーズンでの阪神新人では、嶋田宗彦が85年、日本シリーズでは新人初となる本塁打を放った例がある(西武との第3戦)。