ベテラン全員キャプテン制や! 阪神金本知憲監督(49)が26日、来季も福留に主将を任せることを明言した。2年連続での大役となる。ただ、福留は来年4月で41歳。指揮官は鳥谷、糸井、藤川、能見といったベテラン勢にも「主将待遇」を与え、福留の負担を軽減させる考えだ。

 腹は決まっていた。18年のCマークは誰に託すのか? 金本監督は即答した。「引き続き、孝介でいきます。もともと決めていた。彼も快く引き受けてくれた」。ファン感謝デーが開催された前日25日のこと。指揮官は甲子園で福留と顔を合わせ、2年連続で大役を任せる意思を伝えたという。来季も重みのある一挙手一投足に期待は大きい。

 金本監督 若手に限らず、中堅やベテランにもね。チームに勢いがなくなった時、元気がなくなった時に声をかけるとか。大事な一戦、決戦の前に「負けられんぞ」「絶対に勝つぞ」というひと言は重い。オレらがいくら言っても響きにくい。しょっちゅう言っているから(笑い)。

 福留は1年前、鳥谷からバトンを託された。その際、福留は鳥谷と約束を交わしていた。「トリから1度“預かる”。もう1度キャプテンをつけてほしい」。時が来ればCマークを鳥谷に差し戻す心意気だったが、チーム状況がレジェンドの続投を望んだ。モノを言える、時には嫌われ役も買って出られるリーダーの存在はV奪回へ必要不可欠。そう判断された形だ。

 ただ、来年4月で41歳になる主軸に負担をかけ過ぎてはいけない。指揮官は“ベテラン全員主将制”を提唱するのも忘れなかった。

 金本監督 トリもいいんですよ。次、決戦だと思ったら、パッと声をかけるとか。嘉男(糸井)でもいい。孝介に限らず、あそこらへんはみんながキャプテンですよ。投手で言えば、能見とか球児とかね。ブルペン陣のキャプテンは球児だから。みんな、それぞれ責任感を持って、引っ張ってほしい。

 野手は福留、鳥谷、糸井、投手は藤川、能見がチームをまとめ引き締める。明確な理想像を掲げ、頂点へ突き進む。【佐井陽介】

 ◆福留主将就任の経緯 鳥谷が12年から5年間務めた主将は、16年オフに福留にバトンタッチ。金本監督は「トリも5年やっているから、そろそろ肩の荷を下ろして、自分のことに専念させてあげようかなと。最年長で実績のある(福留)孝介に頼むのが一番。ベンチの雰囲気をつくってほしい」と指名理由を明かした。生え抜き以外の選手が主将に就任するのは球団史上初のことだった。

 ◆主な阪神の主将 プロ野球創成期にコーチ職はほとんどおらず、監督の補佐役として主将は重要だった。阪神球団創立の1936年(昭11)初代主将となった松木謙治郎は、37年春に首位打者と本塁打王の2冠。39年は助監督も兼ねた。元祖ミスタータイガース藤村富美男は47年から務め、豪快なスイングで終戦直後のファンを喜ばせた。後の日本一監督吉田義男は60年に主将を任され、リーダーシップを発揮。近年では06年に赤星が務め、12年には投手で藤川、野手で鳥谷の2人が就任している。