ソフトバンクからドラフト1位指名された鶴岡東・吉住晴斗投手(17)が26日、山形・鶴岡市内のホテルで入団交渉を行い、契約金8000万円、年俸800万円で合意した。最速151キロ右腕の吉住は、山形県が未来の五輪選手育成のために立ち上げた「YAMAGATAドリームキッズ」の1期生。高い身体能力を誇り、最速160キロを目標に掲げる。鶴岡出身の原石が、未来のエース候補としてプロの世界へ羽ばたく。(金額は推定)

 無数のフラッシュが心地よかった。決意の色紙を渡された吉住は自信満々に“160キロ”と書き込んだ。

 吉住 160キロは大きい目標。今までも直球にはこだわってやってきた。プロの世界にいっても、それを貫いて将来は勝てる投手を目指してやっていきたい。

 そう豪語するだけの可能性を秘めている。吉住は未来の五輪選手育成をする「YAMAGATAドリームキッズ」の1期生だ。選出された小4当時に計測した立ち幅跳びでは、全国の同学年男子の平均約1メートル50を1メートルも上回る2メートル40をたたき出した。185センチ、85キロの現在でも50メートル走は6秒0を維持する。担当の作山和英スカウトは「ほとんどの高校生は即戦力ではなく、将来の伸び幅を見る。発展途上だけど、持っている力は非常に高い」と、ずばぬけた身体能力を評価した。

 中3当時の吉住の走る姿を見て、スカウトした鶴岡東・佐藤俊監督(46)も証言した。「吉住は3月生まれで、4月生まれの選手とは1年弱の成長の差がある。高2で選ばれたようなもの」。今年のドラフトで指名された49人(育成含む)の高校生の中で、吉住の誕生日3月12日は最も遅い。成長期における最大1年の差を、吉住は高い身体能力でカバーしてきた。

 今でも成長が止まらない。入学当初から1日5食を続けており「夕食は大きな丼2杯食べる。高3になっても身長が1センチ伸びました」と笑う。無限の可能性を秘めた原石が、ヤフオクドームで仁王立ちする日は近い。【高橋洋平】