今年は「ジー警報」発令!? 阪神が中日とのオープン戦で初顔合わせの先発ディロン・ジー投手(31=ツインズ)に完敗した。テンポのいい投球に戸惑い、6回を散発3安打に抑えられて無得点。結局今季オープン戦初の完封負けで、12球団最速で同10敗目を喫した。新外国人右腕は開幕3カード目で激突する可能性が高く、金本知憲監督(49)も「対策を練る」と語気を強めていた。

 ノーワインドアップで小気味よく投げ込んでくる竜の新助っ人右腕に、完全に翻弄(ほんろう)された。1回、先頭鳥谷があっけなく投ゴロに倒れると、元気印の糸原も追い込まれ、低く沈むチェンジアップにバットは空を切った。前日17日に豪快弾を放った糸井は追い込まれ、外角低めのボールゾーンから食い込む「バックドア」のカットボールに見逃し三振。軽くひねられた。

 無理はない。メジャー通算51勝の右腕とは初顔合わせだ。2回以降も攻略の糸口を見いだせず。5回も百戦錬磨の福留が沈むチェンジアップに空振り三振するなど、歯が立たなかった。6回で3安打。7三振を奪われ無得点だった。金本監督も警戒を隠さない。

 「球は動いているみたいやし。でも、ああいう投手を打っていかないといけない。ずっと向こうのペースやったからね。テンポがよく、自分のリズムで投げられているからコーナーに決まる。崩していくことを考えないといけない」

 12球団最速でオープン戦10敗を喫したが、指揮官は3週間先を見据える。ホーム開幕の4月6日からの中日3連戦(京セラドーム大阪)でジーが登板してくる可能性が高い。「我々も対策を練ります。選手たち個人個人も対策を練ってほしい」。対戦3打数無安打に終わったベテラン鳥谷も言う。「チェンジアップも良かったし、いろんな球種があって絞りづらい部分はあった」。速球は140キロ台前半だが多彩な変化球を操る。本番に向けて、攻略法を練っていく。

 新顔助っ人攻略はチームの課題だろう。昨季も来日1年目のDeNAウィーランドに2戦2敗で防御率1・76と抑えられた。クライマックスシリーズ敗退の引導も渡された。ヤクルト・ブキャナンにも春先に苦しむなど助っ人は「目の上のたんこぶ」だ。14日もヤクルトの左腕ハフに5回で無得点だった。「助っ人アレルギー」に陥らないためにも、打開策が求められる。

 開幕は刻一刻と迫り、片岡ヘッド兼打撃コーチも警鐘を鳴らす。「コントロールが良かった。開幕前に1度こういう経験ができてよかった。残り5試合で、こんな試合をしてたらいけない」。幸先よく滑り出すために、新たな課題が浮き彫りになった。【酒井俊作】

 ▼阪神は昨季、相手先発投手が外国人だった試合で15勝15敗。阪神戦で3勝を稼いだ投手はマイコラス(巨人)、ブキャナン(ヤクルト)の2人。2勝を許したのも2人で、ウィーランド(DeNA)、ジョーダン(中日)。とりわけウィーランドには対戦打率1割7分、投球回15イニング1/3でわずか3得点と封じ込まれた。