プロ野球広島の内野手で、国民栄誉賞を受賞した衣笠祥雄(きぬがさ・さちお)氏が、23日夜に上行結腸がんのため東京都内で死去したことが24日、分かった。71歳だった。

 現役時代の衣笠氏は豪快なフルスイングが持ち味。野球中継で長年コンビを組んだTBSの戸崎貴広アナウンサー(55)によれば、近年、右の大砲が少なくなっていたことを気にしていたという。

 「その意味で広島の鈴木選手を見るのが楽しみとおっしゃっていたし、今年の巨人岡本選手の活躍に『やっと出てきたね』と喜んでおられました」

 1986年(昭61)入社の戸崎アナは、駆け出し時代から今年に至るまで、30年近く一緒に取材、実況を行ってきた。長い付き合いの中で衣笠氏が怒った姿をみたことはなく、常に穏やかで優しかったという。背番号3でサードということもあり、長嶋茂雄氏の大ファンで、酒席などでもよく話題にしていた。

 「現役時代、打撃に悩んでいたとき、オールスターで一緒になった長嶋さんに勇気を振り絞って、難しいボールを打つコツを聞きにいったそうです。すると長嶋さんから『来たボールを打てばいいんですよ~』と言われてずっこけた、なんて話をよくしていました」

 現役引退後はユニホームを着ることはなかったが、野球に対する情熱が消えることはなかった。