社会人野球JABA東北兼北海道大会が今日9日、宮城県内(仙台市民球場ほか)で開幕する。バイタルネット(新潟)入社1年目の植田拓外野手(18=盛岡大付)は4月の初公式戦から既に4番を任されている。165センチと小兵ながら筋力トレーニングで鍛えられた鋼の肉体を武器に、高校通算63本塁打をマーク。昨年の甲子園ではチームを春夏連続で8強入りに導いた。3年後のプロ入りを見据えて、自慢の打撃を爆発させる。

 バットを振ると存在感が違う。植田は黙々と打球を遠くに飛ばし続けた。8日、宮城・富谷市で行われた前日練習で軽く汗を流しつつ、自分を育ててくれた東北の地でプレーできる喜びをかみしめていた。「せっかく新潟から東北に戻ってきたので、ミスショットをすることなくホームランを打ちたい。チームの勝利に貢献するのが一番」。高校時代からさらに7キロも増量して作り上げた80キロの新ボディーを誇示しながら、高らかに宣言した。

 チームの期待に、いきなり応えた。4月のJABA長野大会では4番デビューを果たし、3戦で2本の二塁打を放った。佐藤英司監督(39)は「3月の合流時点から思い切り振れていた。見ていてワクワクする選手。実戦経験を積ませたい」と起用意図を説明する。それでも植田は全く満足する様子はなく、「社会人は変化球のキレが全く違って対応が難しい。結果が出なかったので、自分としては悔しい大会」と言葉に力を込めた。

 終日オフとなった6日には新潟から片道5時間の運転で、母校を訪れた。恩師の関口清治監督(40)からは長さ約1メートルの長尺バットをプレゼントされた。卒業式以来、久しぶりの再会を果たした植田は「このバットを振りまくってプロに行け、ということだと思う。1年目は体をしっかりつくって、2年目からがプロ入りへの勝負の年」と意気込む。今日9日はTDK(秋田)と激突。自慢のバットで結果を出して、己の夢を切り開く。【高橋洋平】