日本ハム上沢直之投手(24)が27日、オリックス15回戦(札幌ドーム)で初の2桁勝利を達成し、チームの連敗を止めた。立ち上がりから力のある直球に多彩な変化球を交えて、相手打線に的を絞らせなかった。今季最多タイ13得点の援護を受け、8回8安打2失点にまとめて10勝目。試合のなかった首位西武に2・5差と半歩詰め寄った。

 ついに白星が大台に乗った。上沢が7年目で初めて、シーズン10勝に到達した。「いろいろあったので、やっとできたという感じです。うれしいです」。節目は価値あるエースの仕事で飾った。チームは楽天に2連敗して札幌ドームに戻ってきた。ここ数試合はブルペン陣も登板過多になっていた。「チームも連敗していたので、何とか止めたかった。長い回を投げることを目標にマウンドに上がった」。8回2失点で投げきっての勝利は、チームにとっても大きな意味があった。

 直球が走っていた。3回、山崎勝から空振り三振を奪った真っすぐは自己最速タイの149キロをマークした。「真っすぐでしっかり差し込めたし、空振りも取れていた。真っすぐを投げないとリズムが出てこないので」。手応え十分のストレートがあるから、多彩な変化球も生きた。ナックルカーブにスライダー、カットボールにフォーク。器用な右腕は、テンポよくアウトを重ねた。

 研究熱心で常に新たな自分にバージョンアップを試みてきた。初出場した球宴ではロッテ・ボルシンガーから、すでに投げているカットボールの別の握りを教わったように、探求心は果てない。「同じボールを投げていたら、すぐに飽きてしまうんですよ。だから、新しいものは常に探しています」。手先も器用で高校時代はフォークを1週間でマスターしたほど。16年に右肘手術をしても、はい上がってきた下地には尽きない向上心がある。

 栗山監督は逆転優勝に向け、新エースに期待した。「(勝ち星は)まだ、こっちがイメージしている半分。ここから、あと10勝してくれると思う。持っている力は、こんなものじゃない」。嫌な流れを断ち切りたかった試合で、期待通りの結果を残せるのが今の上沢だ。「しっかり、チームを首位に押し上げたい」。自覚も十分。進化を続ける背番号15が、獅子猛追の旗手になる。【木下大輔】