高卒2年目の日本ハム堀瑞輝投手(20)がプロ初勝利を挙げた。今季初登板初先発したオリックス16回戦(札幌ドーム)で、5回1/3を2安打無失点と好投。リリーフ陣も無失点リレーで3点リードを守り、期待の左腕が待望の白星をつかんだ。連勝で貯金を今季最多タイの12としたチームにとっても、逆転優勝へ期待の高まるフレッシュな戦力が加わった。

 初めてのお立ち台でも、ひょうひょうとしていた。プロ初勝利を挙げた堀は独特のスローテンポで「すごく、うれしいです。よく頑張ったなぁと思います」と、人ごとのように喜んだ。マイペースな受け答えと同様、マウンドでも堂々としていた。右打者には臆せず内角を真っすぐで突いた。左打者には鋭く曲がるスライダーを有効的に使った。6回途中まで無失点で切り抜けた。「しっかり打者と勝負していけた結果」と、胸を張った。

 立ち上がりも冷静に我を取り戻した。試合前のブルペンでは1球もストライクが入らなかった。試合開始直後も2球連続でボール。「今日は、やばいかな」と思い、マウンド後方で一呼吸置いた。「もうちょっと肩の力を抜いていいかな」。自分に言い聞かせ、ストライクを取ることに集中。悪い流れでも、立ち止まれる強さがあった。

 飛躍が期待された今季は、伸び悩んでいた。昨秋は稲葉ジャパンの初陣となった「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」のメンバーに選出。今春も年齢制限をなくしたフル代表の一員として招集された。日の丸を背負い、自分への期待も高めすぎた。「1軍にいなきゃいけないと追い込みすぎた。自分の投球(レベル)を上に見過ぎた」。イメージでは、開幕から1軍の先発ローテを任され、チームを引っ張っているはずだった。現実は、2軍戦でも低迷。2軍首脳陣と話し合う中で、結果を出せない悔しさから涙したこともあった。

 「自分は何をしているんだろう。考えを変えよう」。5月上旬、少し思い違いをしていた思考を捨てた。「初心に戻って、打者1人1人に集中して勝負する」。雑念は消えた。以降は結果が向上も6月に左太ももを肉離れ。「ここから勝負どころが増えるから、結果を出せば呼べると監督から言われた。早く治して結果を出そうと思った」。故障も癒え、ついに巡ってきたチャンスで白星をつかめた。栗山監督も「立て直す力が出てきた。(チームの)大きな刺激になる」。20歳の左腕の台頭は、勝負の秋へ大きな追い風となる。【木下大輔】

 ◆堀瑞輝(ほり・みずき)1998年(平10)5月10日、広島生まれ。広島新庄では2、3年夏甲子園出場、16年秋のU18アジア選手権優勝に好救援で貢献。16年ドラフト1位で日本ハムに入団。17年秋には「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」のメンバーに選出され、初戦で勝利投手になった。177センチ、80キロ。左投げ左打ち。