サインに首を振り、覚悟を決めた。DeNA京山将弥投手(20)が、大ピンチで4番相手に選んだ決め球はスライダーだった。3回に逆転した直後。2四球と失策で1死満塁を迎えていた。4番鈴木にフルカウント。「真っすぐがよかったから、スライダーを振ってくれた」。前夜にチームは満塁弾2発を被弾。ヤマ場を乗り越え、高卒2年目の5勝は球団では中山裕章以来31年ぶりとなった。

 6月7日西武戦で4回4失点で降板して以来、約2カ月ぶりの1軍マウンドだった。ファームでは大胆に腕を振り抜くことを続けてきた。「縮こまりすぎずにアバウトなイメージをしてから良くなった」。その割り切りが功を奏し、1軍でも直球が生きた。3番丸から2奪三振で、ラミレス監督を「初めて見たかもしれない」と驚かせた。5回2/3を1安打1失点と堂々たる投球だった。

 ちょうど同日、母校・近江が滋賀大会決勝で2年ぶり甲子園を決めていた。2年前のエースが京山。試合前に結果を知り「僕たちができなかった甲子園優勝をしてほしい」。打者から見えにくい、小さくたたんで大きく投げるフォームは高校で磨いた。「プロに入っても投げ方は変わってない。テークバックは高校時代に教わったまま」。2年前は1年生だった後輩たちに負けじとプロのマウンドで先輩の貫禄を見せた。

 4日に20歳の誕生日を迎えてから初めての勝利。「お酒は20歳になって3日くらいしてから飲みました」。大人の味を知り、投球も成熟した味を見せた。【栗田成芳】

 ◆京山将弥(きょうやま・まさや)1998年(平10)7月4日、滋賀県生まれ。近江では15年春、16年夏に甲子園出場。16年ドラフト4位でDeNA入団。1年目の昨季は2軍で16試合に投げ、6勝6敗、防御率4・17。今年4月1日ヤクルト戦(横浜)で、球団史上初めて10代投手による開幕カードでの初登板先発勝利。同15日中日戦まで球団初のプロ初登板から3戦3勝をマークした。今季推定年俸560万円。182センチ、75キロ。右投げ右打ち。