やんちゃ左腕が上位浮上を導くぞ。ソフトバンクから移籍した阪神飯田優也投手(27)が28日、西宮市の球団事務所で入団会見を行った。OB下柳剛氏(50=野球評論家)と投球スタイルなどが似ていると評判で、飯田も鉄腕左腕を目標に掲げる。金本知憲監督(50)は9月以降の過密日程を見据え、先発&中継ぎのダブルで期待をかけるが、下柳氏も現役時代は両輪で大奮闘。古巣首脳陣から「生意気」と評されるなど、マウンド度胸満点の150キロ左腕に、乞うご期待だ。

 飯田の緊急獲得は9月の過密日程を見据えた戦略だった。この日のヤクルト戦も雨天中止になり、連戦続きの9月以降がさらにハードになる。現時点ですでに10連戦。金本監督は「そう思って(球団に獲得を)お願いしたんですけどね」と明かした。飯田が勝負の秋の「ジョーカー」になる。指揮官は続けて言う。

 「両方できる。もともと素材はいいと思うからね。期待はしていますよ。球も速いし、そんなにコントロールで乱れるタイプではなさそうやしね」

 先発経験もあり、近年は救援で奮闘してきた。香田投手コーチも「先発が足らなくなっているのは確か。両方できるんでしょう。こちらの事情と合わせながら彼の体調も見ながら決めていく」と説明し、9月の連戦はチーム事情に合わせて先発、中継ぎの両にらみでスタンバイさせる。救援陣の勝ちパターンも崩れており「勝利の方程式」に入ってくる可能性もある。飯田も「やれといわれればどこでもやります。(過密日程も)体力とかケガに強い自信はあるので、普通に投げられさえすれば行けるかなと」と胸を張った。

 目標とするのは、ダイエー(現ソフトバンク)や日本ハム、阪神などで活躍し、通算129勝を挙げた同じ左腕の下柳氏だ。飯田はソフトバンク時代、達川ヘッドコーチや藤本打撃コーチらに、投球スタイルや生意気っぽく見えるところなどが下柳氏に似ているといわれていたという。

 下柳氏は、阪神移籍後の05年に15勝で最多勝を獲得するなど在籍9年で5度の2桁勝利を挙げた。救援として活躍した日本ハム時代などは年間60試合以上に登板したこともある“鉄腕”で知られた。若手のころは球速があるが制球に苦しみ、毎日のように打撃投手を務め試合にも投げるという練習で課題を克服したエピソードなども知っている。下柳氏と会ったことはないが「メンタルトレーニングとかもされていたそうですし、どんな感じなのか聞いてみたいです。44歳までプレーされたのはすごいことですし、下柳さんを目指していきたい」とタフネス左腕との対面を熱望した。

 西宮市生まれの神戸市育ち。子どものころには、甲子園に応援に足を運んだこともある。地元に戻り気合十分の27歳左腕が、逆襲の力になる。【高垣誠】

 ◆阪神移籍後の下柳 下柳は03年、トレードで日本ハムから阪神に移籍した。ローテに定着して10勝をマーク。優勝に大きく貢献した。05年は15勝を挙げ、史上最年長の満37歳で最多勝を獲得した。06~08年も10勝以上を挙げるなど、先発の一角を守り続けた。阪神に移籍した日本人投手では最多となる、在籍時80勝を挙げた。現役通算627試合中、先発258試合、救援369試合に登板した。