プロ初勝利を、西武のドラフト1位左腕、斉藤大将投手(23)は手放しで喜ばなかった。「本当に、もらった勝ちなので。個人的には、5回がダメでした」と、2イニング目の失点を反省した。ただ、なぜかソフトボールに「祝 初勝利」と書かれた記念球? をチームメートから手渡されると、口元がほころんだ。

 1回2/3、2安打1失点。収穫もあった。6-2の4回1死満塁。プロ3試合目で初めてリードした場面で登場した。準備はできていた。ブルペンで戦況を見守り「そろそろだな」。榎田が押し出し死球を与え、お呼びがかかる。点差はあったが満塁だ。1発同点に「多少緊張しました」。だから、思い切り腕を振った。ロッテ鈴木への初球スライダーを引っかけたが「抜けるよりいい」と落ち着けた。2球で並行カウントにし、最後は浅い左飛でタッチアップを許さない。平沢は外のスライダーでタイミングを外し、空振り三振。胸を張ってベンチに戻った。

 準備を怠らない。3月初めのオープン戦で訪れた長崎。球場入りすると、真っ先にマウンドへ向かった。登板予定はなかったが「いつか、ここで投げるかも知れない。自分で見ておきたいんです。プロでは全てが初めてなので」と謙虚に、だが、抜け目なく言った。開幕前に2軍落ちし、2軍戦でも打ち込まれた。それでも、直球の質にこだわり、1軍に戻ってきた。

 5連勝と首位固めに貢献し、辻監督から「よくピンチをしのいでくれた」とねぎらわれたが、中継ぎの矜持(きょうじ)がある。「(自身の)勝ちより、チームの勝ちにこだわっていきたい」と言い切った。【古川真弥】

 ◆斉藤大将(さいとう・ひろまさ)1995年(平7)6月3日、東京都生まれ。桐蔭学園3年夏は神奈川大会準決勝で平塚学園に2-3でサヨナラ負けだった。明大では東京6大学リーグ通算11勝4敗。4年秋は防御率1・95でベストナイン。17年ドラフト1位で西武入団。今季推定年俸1500万円。178センチ、75キロ。左投げ左打ち。