独壇場だ。ヤクルト山田哲人内野手(26)が「先制」「同点」「逆転」と肩書付きのオンパレードで4安打4打点と暴れ、昨季から続いていたチームのナゴヤドーム連敗を8で止めた。1回の28号ソロを皮切りに、7、8回には技術と勝負強さの詰まった右前適時打。3度目のトリプルスリーへ着実に歩を進める。

 頼もしい活躍だった。ヤクルト山田哲が先制、同点、逆転の殊勲打を独り占めで、ナゴヤドームの呪縛を解いた。1回には本塁打王争いでセ・リーグ単独トップに立つ28号先制ソロ。1点を追う7回無死一、三塁では佐藤から右前に同点打。再び1点差で迎えた8回2死二、三塁では、又吉から右前に逆転の2点適時打を決めた。獅子奮迅の活躍で、昨年からの同球場での連敗を8で止めた。今季3度目の4安打4打点。先制後に2度もリードを許す乱打戦に終止符を打ち「最後まで集中してやった結果。仕事ができた」と頬を緩めた。

 試合前練習から、猛打の気配を漂わせていた。トス打撃でボールを投げ終えた杉村巡回打撃コーチから「今日は打つよ」と太鼓判を押された。ソフトバンク内川や青木を育て、山田哲も主軸に座るずっと以前から指導を受けてきた。3打数無安打だった前日とを比較。「スイングのキレが戻っている。彼は修正とか、そういうレベルではなくなった。キレがあるかどうか。今日は大丈夫」と見立てていた。

 予言通り、臨機応変に打ち分けた。初回の本塁打は左腕小笠原の内角高めを軸回転で左翼席へ。7回は佐藤、8回はサイドスロー又吉から、いずれも逆らわずに右方向への適時打に仕留めた。チームも46勝目で昨季の45勝を上回った。「気を抜くことなく、今日みたいな試合ができるようにやっていきたい」。借金51の昨季の呪縛を完全に解くためにも、山田哲は打ち続ける。【浜本卓也】