感謝と刺激の白星だ。阪神小野泰己投手(24)が自己最長の7回2/3を投げて8安打3失点の力投。前回ヤクルト戦に続く連勝で6勝目をマークした。

 立ち上がりから制球からリズムを乱す不安定さはない。4回に2失点も、ブレーキの利いたカーブなど緩急を使ってリズムをつくった。

 「カーブが有効に使えたかなと思います。前回(5回1失点も7四死球で122球)が全然だったので、今日はなんとかこういう形に出来てよかったです」

 ベテランがリズムをただしてくれた。2点リードの5回。先頭桑原に四球を出したところで、三塁から鳥谷が小走りで近づいてきた。「1つずつ、しっかり取っていこう」。10秒にも満たないわずかな時間。これが四球から崩れる傾向にあった小野に響いた。「あそこで声を掛けていただいて、自分のなかでワンテンポおくことが出来ました」。続く神里を併殺に打ち取り、ソトも三振。乗っていった。

 意気込みも普段以上だった。前日10日に母校の折尾愛真が甲子園初戦に登場。練習出発まで、テレビで観戦した。敗れはしたが「あらためてすごい舞台で野球をやっているなと。なんとか自分は活躍できるようにと思って投げました」。刺激をもらった後輩たちへの恩返しでもあった。

 プロ初完投も狙えるペースだったが、中5日での登板となる次回も考慮されて8回途中で降板。金本監督は「前回よりは全然ストライクが入っているから。球の勢いと変化球のキレがあれば、ストライクさえ取れれば、ちゃんと試合をつくれる投手ですからね」と評価した。好結果を持続出来るか。小野は早くも「次回もしっかり腕を振って自分の球を信じて。勝ちにつながる投球ができれば」と、真価が問われる次戦へ意気込んだ。【池本泰尚】