ソフトバンク東浜巨投手(28)が復活の勝利をつかんだ。右肩関節機能不全から復帰2戦目となった楽天戦で、6回5安打無失点の力投。初回の先制点を守り、4月17日以来の今季2勝目を挙げた。勝率5割からの試合で5連敗を喫していたチームも7月26日以来の貯金生活となった。

 この男には笑顔が似合う。3カ月ぶりに本拠地ヤフオクドームのマウンドに上がった東浜が、復活勝利だ。最速149キロの直球とカーブ、カットボールで楽天打線を6回5安打無失点。119日ぶりの今季2勝目。ウイニングボールをもらい「ボールにこだわりはないけど、特別な1勝になった」と喜んだ。

 立ち上がりは「フワフワ」していたという。初回、いきなり決め球のシンカーを連打され無死一、三塁。続く島内にはカットボールで空振り三振を奪った。「シンカーを相手が待っていたが、(捕手の甲斐)拓也が違うボールで勝負してくれた。今日はシンカーはダメなボールだった」。続く今江にもカットボールで勝負。中飛に打ち取り、中堅手柳田がワンバウンド送球でタッチアップした三塁走者田中を刺し併殺。東浜は「野手のおかげです」と感謝した。

 昨季16勝。さらに飛躍を期した今季、プロ入り後初めて右肩を痛めた。「一進一退ですね」と不安な毎日を、初めて所属したリハビリ組で過ごした。「リハビリのトレーナーや筑後の人たちが僕の愚痴を笑って聞いてくれて楽になった」と、斉藤学リハビリ担当コーチをはじめとしたスタッフと心のケアも行った。昔からの仲間も東浜を救ってくれた。亜大時代の後輩たちだった。社会人で福岡に住んでいる彼らが、東浜家に集まり食事をともにしたこともあった。料理好きな東浜が料理をふるまうことも。本音で話せる仲間との時間が、迷い苦しむ東浜を勇気づけた。

 今季まだ2勝目。東浜は「穴をあけることなく投げていくことが大事」と、残りの先発ローテーションを守り抜き1つでも多く白星を重ねる。

 チームにとっても勝率5割から6度目の挑戦で勝利。7月26日以来の貯金1だ。工藤監督は「一番上を目指してみんなで戦っている。もっともっと前を見てやっていきたい」と力強く話した。連覇への思いは折れることはない。【石橋隆雄】