ヤクルト由規投手が2日、涙ながらに今季限りでのヤクルト退団を表明した。都内の球団事務所を訪れ、球団幹部から来季は契約をしないことを通達された。球団は引退なら球団内にポストを用意し、引退のセレモニーも準備する意向を伝えたが、由規の現役続行への意志が強かった。

話し合いを終えた由規は、報道陣の待つ会見場に神妙な面持ちで姿を見せた。着席して言葉を紡ぎ始めたが、すぐに詰まった。

「うーん…。引退か、現役を続けるかという決断だったんですけど、自分の中で……。自分で決断したことなんですけど、まだまだ自分の可能性にかけたいということで…」と、涙ながらに決意を口にした。

「引退後のポストであったり、引退セレモニーを球団から出してくれた。ありがたいお話なんですけど、とにかく(自分の気持ちは)その可能性(現役続行)にかけてやりたいということだったのでお伝えして…。本当に長い期間でしたけど、ヤクルト球団にはお世話になりました。本当にいろいろ考えた上での決断なので、やると決めたからにはしがみついてでも野球をやりたい、という気持ちを伝えさせていただきました。今後はどうなるか分からないですけど、他でやることもヤクルト球団に対する恩返しだと思うので、現状では厳しいですけれど、なんとかボロボロになるまで野球をやりたいです」と顔を上げて、現役続行への強い覚悟を示した。

主な一問一答は、以下の通り。

-家族に相談は

由規 いろいろな話をしましたけど、最終的に決めるのは本人ということをいわれました。最後は本当に自分の気持ちで…。家族からは『引退』という話はひとつも出なかったですし、自分がやりたいなら、とことんやりなさいと言われました。

-体の状態は

由規 6月に右肩に違和感を感じてからはキャッチボールをしたりとか、ノースローをしたりとか、いろんな調整をしてきました。現状としては全然、試合に投げるまでの回復は見込めていないですけど、ただ自分のわがままとしてただただ、野球をやりたいとういう気持ち。ここから、しっかりいろんなことをしながら、状態を上げていければなと思います。

-思い出は

由規 11年間、けがをしている期間の方が長かったかもしれないですけど、うーん、それでもやっぱりいい思い出もたくさんあります。特に(復帰後本拠地初登板となった)16年7月9日の神宮で、まあ球場の雰囲気だったり、自分しか味わえないところだったんではないかな。ああやって盛大に盛り上げてくださって球団にも感謝ですし、何よりもここまで長い間、面倒を見てくださったヤクルト球団には本当に感謝したいです。

-現役への思い

由規 1回目の手術があって、そこからもし復帰できていなかったら、こういう決断にいたらなかったと思う。なんとか苦しんで苦しんでここまできたので、だからこそまだまだ野球をやりたいという気持ち。こういう経験というのも何回もできることではないので、やりたいと思う以上は最後までしがみついてやりたいな、と。

-ファンへ

由規 苦しい時ですけど、めげずにやってこられたのも、ファンの方が温かい言葉をかけてくださったおかげですし、これからどうなるか分からないですけど、なんとかしがみついてでも、まだまだ野球を続けたいなと。引き続き応援してくれたら、うれしいと思います。

-新天地はNPB以外も考えるか

由規 はい。そこまで(考えている)。