日本ハムが、海外移籍を目指している台湾・ラミゴの王柏融外野手(25)の優先交渉権を獲得した。20日、ラミゴから発表された。台湾球界で昨季まで2年連続で打率4割以上を記録した“台湾史上最強打者”の獲得が実現すれば、来季の覇権奪回へ向けた大きな目玉補強となる。今後、日本ハムには30日間の交渉期間が与えられる。
日本ハムが来季の覇権奪回へ向けた目玉補強の成功へ、第1段階をクリアした。海外移籍を目指している王柏融との優先交渉権を得た。中華職業棒球大連盟(CPBL)が運営する台湾プロ野球で16年にリーグ初の200安打、歴代最高の打率4割1分4厘を記録。日米から去就が注目されていた「台湾の大王」と、30日間に設定された交渉期間内で正式契約の締結を目指すことになった。
2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で取材に応じた吉村GMは言葉を選びながら、ここまでの経緯、球団としての評価を説明した。
吉村GM ラミゴモンキーズから優先交渉権を譲渡すると連絡がありました。CPBL史上、最高の選手として敬意を持って評価しています。長期にわたって複数の目で、かなりの期間をかけて見てきた。王柏融選手を評価して、ファイターズでプレーしてほしいと思った。日本でも十分、活躍出来るという評価。年齢が若いのも重要な評価です。
日本ハムは昨年8月に、木田GM補佐(現投手チーフコーチ)らが現地で視察。今年2月28日と3月1日にはラミゴが札幌ドームに遠征。王柏融も出場した交流試合を2試合行うなど、じっくりと能力を見極めてきた。年齢も25歳。日本では大卒3年目の選手と同学年にあたる。今後の伸びしろにも期待できる。
左の長距離砲は補強ポイントにも合致する。王柏融は台湾球界4年間で通算86本塁打を放った。今季は「ポスト大谷」を期待されたアルシアが14本塁打と最多本数も、すでに退団が決定。続くのは西川(10本)近藤(9本)清宮(7本)。攻撃のオプションの幅を広げるためにも欲しい戦力と言える。
王柏融は11月上旬に「一番は、日本への移籍を希望しています」と明言。さらに日本の好きなところとして「おすしとラーメンが好きです」と明かしていた。全ての希望に合致する北海道が、新天地となるのか。今後の交渉の行方に注目が集まる。
◆王柏融(ワン・ボーロン)1993年9月9日、台湾・屏東県生まれ。中国文化大在学中の14年にU21ワールドカップ(W杯)優勝に貢献。15年ドラフト1位でラミゴに入団し、同年デビューした。初のフルシーズンだった16年はリーグ初の200安打、歴代最高の打率4割1分4厘、29本塁打、105打点、24盗塁でMVP。昨季は打率4割7厘、31本塁打、101打点で3冠王。昨年2月、侍ジャパンとの壮行試合で楽天則本から中越え本塁打を放った。181センチ、90キロ。右投げ左打ち。
◆王柏融の移籍 台湾プロ野球には1軍に年間125日以上在籍したシーズンが3度になれば、球団の承認を条件に海外移籍が可能になる規定がある。ラミゴは日米、韓米のポスティングシステムを参考に王柏融のために移籍システムを創設し、獲得希望球団を募っていた。日本と台湾の間には日台選手契約に関する協定があり、野球協約に明記されている。日本の球団が台湾球団の選手と契約を希望する場合、日本コミッショナーを通じて身分照会を行い、台湾コミッショナーは4営業日以内に回答。日米協定で明記されているポスティングシステムは、日台協定では記されていない。
◆前年台湾プロ野球でプレーした外国人野手 前年に台湾でプレーして来日した投手は多いが、野手は少なく、最近では10年カスティーヨ(横浜)がいる。09年に統一で73試合に出場したカスティーヨは横浜1年目に打率2割7分3厘、19本塁打。97年に巨人入りしたルイスは95年に兄弟で打点王、96年には打率3割7分5厘で首位打者も、巨人では成績を残せず1年で退団。02年に中信で本塁打王を獲得して来日の陳文賓(ダイエー)は2試合、4打数0安打で退団した。前年に限らなければ99年和信→00年Dバックス→01年西武のカブレラがおり、88年来日の呂明賜は中国文化大から巨人入りした。