あっという間に過ぎた18年シーズン。阪神は最下位に沈み、監督も交代…。そんな中で彗星(すいせい)のごとく登場したのが、才木浩人投手(20)だ。強気のピッチングが持ち味で、22試合に登板して6勝10敗1ホールド。負けは4つ先行したが、先発だけでなく救援も経験するなど、大車輪の活躍を見せた。

若き右腕は、オフも大好きな野球に没頭している。「朝起きて、録画していたドラマを見て、昼ご飯を食べて…。お風呂に入る前のストレッチでも、マウンドに上がったときのことを考えてしまいます」と心配は尽きないようだ。

シーズン3試合目の登板となった5月27日巨人戦(甲子園)でプロ初勝利をマーク。その後も6、7月に1勝ずつ挙げたが、3勝3敗で迎えた8月は先発3試合連続で黒星を喫した。8月15日広島戦後には金本前監督から「ラストチャンスで」と見切られる可能性も示唆されていた。

苦しんだ才木は考えた。何がダメなのか。球団寮の虎風荘に帰って、夜遅くまで映像を見直した。「ただ投げて満足するんじゃなくて修正ポイントをしっかり見ていきたいので」。足の上げ方、投球フォームのバランスやリリースの位置を確認。新たな発見があった。「自分はもっと前で放しているつもりが、そうでもなかった。その映像を見て、イメージしやすくなりました」。自主学習が実を結び、救援登板を1試合挟んで再び先発ローテーションに戻った。結局、6月から出場選手登録を抹消されることなくシーズンを完走した。

プロ3年目となる19年に向けての誓いは「開幕から先発ローテーションに入っていきたいです」とシンプルだ。期待株の才木が、最下位から巻き返しをかける新虎を押し上げていく。【阪神担当 真柴健】