阪神の開幕ダッシュは、もう成ったも同然だ。記念すべき矢野新監督の初陣は、3月29日ヤクルト戦。準本拠地の京セラドーム大阪で戦う。阪神は同球場が「大阪ドーム」として開場した97年以降、この地でヤクルト戦40試合を行い、30勝10敗で勝率7割5分の好成績だ。とはいえ驚くのはまだ早い。現在の球場名「京セラドーム大阪」と改めた06年以降の23試合に限ると、実に19勝4敗。勝率8割2分6厘という、圧倒的な数字にはね上がる。10年8月14日から13年8月18日まで、破竹の11連勝を飾った。1敗を挟み、17年4月5日からは7連勝を継続中。勢いは全く衰えていない。

昨季の阪神は、ヤクルト戦で大苦戦を強いられた。夏場までは互角の戦いを続けていたが、8月19日(神宮)から10連敗でシーズン終了。96年に15連敗して以来22年ぶりの、同カード2桁連敗という屈辱を味わった。苦しみ抜いた難敵を、最高の相性を持つ京セラドーム大阪で迎え撃つことができる意義は大きい。

矢野監督にとっても、思い出深い球場だ。阪神に移籍した1年目、98年7月7日横浜(現DeNA)戦。0-1で迎えた9回2死一、二塁で、抑えの佐々木主浩から中越えに移籍後初のサヨナラ二塁打を放った。佐々木はそれまで24試合に登板し、防御率0・00。この年45セーブでMVPを獲得した守護神が喫した、このシーズン唯一のサヨナラ安打だった。選手も、そして監督もいいイメージで長いシーズンに入ることができる。実績と縁起のよさを生かし、一気に流れをつかみたい。【記録室・高野勲】