新春の誓いは、とてつもなく大きかった。昨季、プロ野球新記録となる通算294ホールドを挙げて「最優秀中継ぎ」に輝いた日本ハム宮西尚生投手(33)が4日、野球人生の目標に「通算400ホールド」を設定した。この日、兵庫県尼崎市にある母校の市尼崎高で自主トレを公開。11月下旬に左肘を手術も、治療と平行しながら正月返上で練習を続ける北の鉄腕が、伝説級の記録へ挑む覚悟を決めた。

元日に引いたおみくじは「末吉」だった。日本ハム宮西は「微妙すぎる。おみくじを引いた瞬間に、これは(テレビや新聞に)使われないわと思った」。例年通り「福男」で有名な西宮神社へ初詣。おみくじを開き、新年早々、思わずため息だ。「健康は『命に別条はない。神に祈れ』って書いてあったので、肘のことは神頼みします」。昨年11月下旬に手術した、商売道具である左肘の状態を気遣った。

神に祈ってでも、投げ続けたい理由ができた。シーズン最多、通算最多のホールド記録に、入団1年目から途切れることのないシーズン50試合以上登板の連続記録、その先にある史上2人目の1000試合登板…。数々の記録更新へ挑戦権を持つ。残り6に迫った通算300ホールドの節目も「300は通過点。最終的には、400にいきたい」と、伝説級の数字に野球人生の目標を定めた。

昨季限りで中日岩瀬、巨人山口と、2人の偉大なリリーフ投手が球界を去った。「まだまだ、ホールドに対する(世間の)評価は高くない。中継ぎの地位が少しでも上がるように頑張りたい。これから入ってくる選手のために、1つでも目指すものを作りたい」。昨年末の年間授賞式で初めて3人が一堂に会し、残った者の使命を胸に刻んだ。

この日は手術後最長となる40メートルのキャッチボールを約50球。針治療と平行し、強弱をつけた練習で2月のキャンプインに備える。今年34歳を迎える鉄腕は「野球人生も先が短い」とし「1年1年が勝負」。伝説の中継ぎ投手になるべく、スパートをかける。【中島宙恵】

◆1000試合登板 達成するにはシーズン50試合を20年、60試合でも17年かかる。シーズン50試合以上は岩瀬の16度が最多で、2位が米田(近鉄)金田(巨人)宮西(日本ハム)の11度。10度以上はこの4人しかいない。現役投手を見ると2位五十嵐(ヤクルト)は39歳で777試合、3位藤川(阪神)は38歳で710試合でともに年齢から厳しそう。33歳で629試合の宮西は19年から50試合を8年、60試合を7年続ければ1000試合となる。